”民泊”などのシェアリングエコノミー関連で怪しい詐欺話が勃発|やまもといちろうコラム (2/2ページ)
■シェアリングエコノミー投資には問題点も
いまだに高利回りで運営されているラブホテルファンドもあるようなので、一概にこの手のビジネスが駄目だというつもりもないのですが、まともに運営しているはずなのに問題を引き起こすタイプのラブホテルファンドは共通していて、それは「物件を買う」「又貸しで本来の権利者が別にいる」ケースです。というか、すべてのファンドの内情に精通しているわけではありませんが、本丸で稼げるラブホテルに周辺のどうでもいいラブホテルをぶら下げて、全体の売上の規模感を保ちながら投資家を募り営業を助成したりしながら採算を取っていく事業モデルという点では、民泊の各種事業者や仲介業者と似たところがあります。
ところが、このシェアリングエコノミー投資の問題点は「もともと空き家や長期不在などで部屋が空くので、それを貸す」という元手がほとんどかからない前提で成り立っていたはずが、民泊ファンドもラブホテルファンドも「物件を買い、また仲介に金を払ってファンド運営する」という点で、物件を仕入れて運営しなければならないわけです。
なので、民泊ビジネスで適法に収益を上げようとするならば、あくまで野良のユーザーに空き家を登録させ、そこへの送客、仲介に限定してビジネスが回せなければ旨みがないどころか、リスクが大きいということになります。この手のビジネスでCtoCだから「ただ俺たちは業として宿泊希望者を仲介して、空き家登録してくれた人の家に送っただけだからね」と言いたいところですが、そこで乱痴気騒ぎを起こして裁判沙汰になったとか、盗品が出たとか、傷害事件が起きたといったとき、当然仲介業者の責任が無しとはいえなくなってしまいます。この点は、フリマアプリの構造的欠陥と同様です。
■民泊の“危険性”はどう解消すべきか
シェアリングエコノミーは私自身も推進したほうが良いという立場ですが、その運営においては既存法の成立の理由にまでしっかりと立ち入って、「法律ができた当時、何が問題だったからその規制が敷かれたのか」をきちんと吟味する必要があると思うのです。例えば旅館業法において、潜りの旅館業者が掃除を怠り衛生状態が悪くなって水虫のような軽微なものから結核のような伝染病まで発生していたので、簡易宿泊においても業として行う場合には登録が必要であるという流れになったと記憶しております。
ここには長い戦いの歴史があり、業としての宿泊といったとき、夜間営業もし実際に宿泊させられる機能も完備しているネットカフェや漫画喫茶がどういう法的な立て付けになるのか、また、その場合は業として求められる「宿帳」システムをどう管理するのか、といった様々な調整があって現在にいたっているわけです。
そこへ、外国人宿泊客の需要があるからと言って、本人確認も満足にできないような民泊仲介サービスがネットで簡便に行われたとき、どのような影響を及ぼすのかは、ある程度想像力のある人からすれば分かることではないかな、と思います。
したがって、これ界隈は残念ながら「事件待ち」になっているところがあり、以前にもこの連載で書きましたけれども、安全管理や宿泊者の素性をきちんと確かめられるすべがあるといいのですが。
【中国籍女児マンション転落死】宿泊仲介サイト「AirBnB」が関係か|やまもといちろうコラム
この辺は、あんまり華やかにやりすぎると痛い目に遭う方面なので、個人的には需要の盛り上がりに応じて国民の間でしっかりと議論を積み重ねながら、徐々に丁寧に対応していくのがベストじゃないかと思うのですが、如何でしょうか。
著者プロフィール

ブロガー/個人投資家
やまもといちろう
慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数
公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)