女子プロレス"アノ壮絶喧嘩マッチ"の舞台裏|ほぼ週刊吉田豪 (2/2ページ)

東京ブレイキングニュース

そうならないように惡斗は示談書にサインをした。それで訴えられずにすんでいる。

◇◇◇

 正直言って社会常識から言えば非常に納得のできる意見ではあるんですけど、どうしてもプロレス常識からすると納得いかないというか、これは惡斗のことをプロレスラーじゃなくて役者として判断しているようにしか思えないんですよね。「アクションシーンの撮影なのに相手役が寸止めせず本気で攻撃してきた」的な。

 プロレスは相手を怪我させるためのものではないのは当然として、それでも怪我しそうな攻撃を仕掛けてくる相手に対してちゃんと対処できなきゃプロレスラー失格だし、プロレスラーが「プロレスなのに相手が本気で攻撃してきた」って言ったら終わりなんですよ。正直言って実力的にはまだそれほどではなかった惡斗をプッシュして、こういう危なっかしい試合を組んだ団体側の責任でもあるし、対処できなかった惡斗の責任でもあると思います。

 ゴングが鳴っても相手が動かなかったからといって、そこで惡斗が最初にナックルパートという反則を仕掛けている以上やり返されるのはしょうがないし、プロレスをやりたいんだったらあそこはビンタで良かったはず。ナックルパートは「そのケンカ、買った」って合図にしかならないし、ケンカを買うのであればちゃんと対処しなきゃいけない。あそこでの選択肢は「相手が何をしてきてもプロレスに徹する」か「ケンカを買ってキッチリ対処する」か、そのどちらかだったはずなんですよ。

 リング上での出来事で、善意の第三者が傷害罪で訴えていたという件に至っては、社会常識としては正しいのかもしれないけれど、プロレス常識からしたら絶対に有り得ないわけで。あのとき橋本真也が小川直也を訴えていたら......とか、あのとき前田日明がアンドレ・ザ・ジャイアントを訴えていたら......とか、想像するだけで絶望的な気持ちになります。

Written by 吉田豪

Photo by -安川惡斗-映画『がむしゃら』オフィシャルページより

「女子プロレス"アノ壮絶喧嘩マッチ"の舞台裏|ほぼ週刊吉田豪」のページです。デイリーニュースオンラインは、安川惡斗女子プロレスラー吉田豪スポーツなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る