時間に追われる全ての人に知ってほしい「平凡な1日」の持つ重み (2/3ページ)
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「日常性を大切にしたかったんです。ともすれば思いだせないような1日に、あえて思いをはせてほしくて」。当初の思いをそう振り返った楠本さん。
プロジェクトの活動をまとめた書籍「赤崎水曜日郵便局」では、そのうち101通を読むことができます。給食に出たカップアイスの“お気に入りの食べ方”を教えてくれる8歳の女の子。
娘の恋人が結婚を申し込みに訪ねてきた1日を振り返る57歳の女性。仕事が休みで、娘を保育園に迎えに行った48歳の男性。何気ない日常がつづられた手紙ですが、読んでいると胸を突かれます。
「たとえば土曜、日曜なら特別なできごとを書いた手紙が多かったと思いますが、水曜日にしたことで、日常のできごとから自分の人生まで掘り下げて思考した手紙が多かった。
親しい人にはいいにくいけれど誰かに聞いてほしい悩みを抱えている方が、手紙を出すことで一歩前に踏み出すきっかけにできた、ということも聞きました。受け取った人も、100人いれば100通りの幸せのかたちがあると感じられたんじゃないかと思います」
あえて週のうち最も平凡な1日を見つめることで、自分自身とじかに向き合う機会になったのでは、と楠本さんは考えています。
■ゆるやかなつながりがもたらすもの
そしてもうひとつ、手紙という手段からも気づかされるものがあった、と楠本さん。
「赤崎水曜日郵便局は、きずなのあり方を問いかけているんじゃないかなという気がします。SNSで人と人が簡単に、密につながれる時代、赤崎水曜日郵便局のようなゆるやかなつながりだからこそ伝えられることもあるんじゃないか、と。
いまは、メッセージを送ってもすぐに返事が来なかったら『どうしたんだろう』と思うし、もらって返しそびれていると『早く返さなきゃ』と思いますよね。でも、昔はそうでもなかった。