元少年Aの住居を特定?噂の”足立区H団地”に行ってみた
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酒鬼薔薇聖斗
『週刊文春』(文藝春秋)が、2月25日号で神戸児童殺傷事件の加害者とされる「元少年A」の現在の写真と特集記事を掲載し、大きな衝撃をよんだ。
写真は駆け足で走るAの姿が写っている。ただし目には大きな黒線がひかれ、背景にはボカシがかかっていた。これでは、実際に会ってもわからないし、どこに住んでいたのかもわからない……。と落胆していたのだが、写真のほんの少しのヒントで場所をどこだか判明させた強者がネット上にいた。その場所は、足立区のH団地だ。さっそく、足を運んでみた。
■廃墟だと噂されていた元少年Aの住居
H団地があるのは東京の北端である足立区内でも、さらに北にあたる。少し上に行けば、埼玉県草加市に入る。H団地は、昭和39年に入居が始まった、とても古い団地で、古いがゆえに人気がなかった。人が住まなくなり、外観もかなり汚いため、
「あの団地は廃墟だよ」
と噂されていたという。団地はリニューアルされて綺麗になったため、入居者は増えつつあるが、それでもまだ平均よりはずっと住みにくい。
足立区自体、東京23区の中では、人気がない区である。進学率が低い、平均所得が低い、下流社会、と揶揄されることもあるし、東京都23区住宅地の平均価格ランキングも最下位になる場合が多い。
URのホームページで家賃を調べてみると、最安値の物件は、2DK(床面積37㎡)で57,900円〜と東京都内とは思えない安さである。このような環境ならば、元犯罪者である、少年Aも家を借りやすかったのかもしれない。
文春の記者が写真を撮った場所に行ってみた。バス停の手前に、ベンチがあった。ベンチに座って、少年Aが走ってくるのを待っていたのだろう。走ってきた方向から少しは絞れるかもしれないが、どこに住んでいたのか特定するのはとてもできない。
午前中に現場に行ったのだが、人通りはあまりなかった。記者が逃げ込んだ、スーパーも簡単に特定できた。なぜなら、他にスーパーがないからだ。他にお店と言えば、貧相な商店街くらいしかない。どこまでも団地が続く、とてもさみしい雰囲気の街だ。
スーパーのベンチに座ってしばらく観察してみたが、客層は圧倒的に老人が多かった。少年Aが住んでいたと知っていたか、聞いてみたが、
「少年Aが誰だか分からない」
「そんな人は住んでいない。デマだと思う。住んでいたらすぐ分かるはず」
という意見しか返ってこなかった。なぜすぐわかると思ったのかは、不明だった。少年Aはいつも血塗れのナイフを持っていると思っているのかもしれない。
金髪にした中年男性や、ジャージを来た子連れのお母さんなどにも話を伺ったが、
「住んでいたかどうかは知らないが、止めようもない。不安だがどうしようもない」
との、話だった。
正論である。どこの地域に住んでも、近所に元犯罪者が住むのを完全に防ぐ方法はないのだ。同じ町、同じマンション、隣の部屋にだって、犯罪者はいるかもしれない。悲しいことだが、いつも“気をつけて生きる”ことが大切なのだ。
- 村田らむ(むらたらむ)
- ライター・イラストレーター・漫画家。ホームレス、新興宗教、犯罪などをテーマにした体験、潜入取材を得意とする。著書は『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)など多数。近著に『禁断の現場に行ってきた!!』(鹿砦社)がある。