イチローのドヤ顔に困惑?取材記者を悩ます”Tシャツ問題”
2月23日のキャンプインで、マイアミ・マーリンズで2年目を迎えたイチロー(42)。彼のキャンプインと言えば、恒例のオリジナルTシャツだ。毎年、天才・イチローが一風変わった自己主張をするのだが、「この季節、マイアミは25度前後と温かい。が現場は凍りきってます」とはMLBを追いかけるテレビレポーター。いったい現場では何が起きているのか?
■サザエさんTシャツまで登場?
その答えは、“Tシャツ芸”とも言うべき珍妙なアピールにあった。今年のキャンプ初日、イチローはダウンタウン・浜田雅功(52)がプロデュースしたTシャツで登場。小学生が書いたようなバットを構えたイチローのイラストに、「人生は42歳から始まるんやて」との言葉が添えられたものだ。その後も、「肩もわりかし強いほうやし」「守りも固めやし」「ケガなんかしたことないし」など、さまざまな浜田Tシャツを連日披露した。
「実はこれ、イチロー選手のお家芸。鯖の絵に“OTSUKARE SABA”(おつかれさば)という文字が添えられたイラストを着たりするギャグを、この数年キャンプインの恒例行事にしていた。最初のうちは『サービス精神旺盛だな』と好意的に見ていたんです。ところが今年のはかなりしんどい(苦笑)。記事にはなるのでありがたくはあるのですが、心の底から笑えるかんじではない」(前出・リポーター)
3月に入ってからは、内容に劣化が見られたようだ。
「B型ですが、何か?」
「右打ち左投げ」
「肉、肉を食わせろ!」
「早く俺のレベルまで上がってこいよ」
「大変な事しでかしました。」
などの文字をプリントしたものから、「すばやさを笑顔に KIBIN」など企業ロゴのパロディーTシャツも登場。アニメ『サザエさん』からインスパイアされた、サザエがカツオを叩いているイラストに「鰹のたたき」のロゴを乗せたギャグTシャツまで飛び出したのである。
スポーツ紙記者が語る。
「イチローのオリジナルTシャツが注目を浴びたのは、2013年、ヤンキースのキャンプインが最初ではないか。胸にカツサンドの絵と味のある書体で『カツサンドないの?』、背中には『冗談言ってんの?』と書かれたもので、日本でも話題となりました。これは、カツサンドを巡って口論をした知人とコーヒー店のマスターへ仲直りするように、とのメッセージだったそうです。彼らがこれを見て笑えばいいと思って作ったそうなのですが、思いがけず評判となり、そこから毎年、オリジナルTシャツでキャンプインするようになりました」
つまるところ、イチローのTシャツ芸は善意から産まれたわけで、屈託のない人柄がうかがえる。イチローはオリジナルTシャツ関連の質問に楽しそうに答えており、「僕のアイデアなしでは成立しない。あの字体もね、どうするかいろいろ考えながら、いろいろ大変なんですよ」と制作秘話を明かしている。
その裏には、ファッションセンスに対するコンプレックスがあるとの声も。前出のスポーツ紙記者は話す。
「野球のセンスは抜群ですが、ファッションセンスは微妙。ヤンキース時代のチームメイト、デレク・ジーターは記者にイチローのファッションについてどう思うかと問われた際、『僕なら絶対あんな格好はしない。いいかい、“絶対”ってちゃんと書いてくれよ』答えています。そんなイチローにとって、自身のセンスを活かしたTシャツが注目されたことは、かなり嬉しかったんでしょうね」
Tシャツ芸に困惑する声を隠さない記者もいる。
「あからさまに滑っていて、日本人記者仲間とも『あれはない』という話になることは正直あります。ただ、イチローさんが『さあ、つっこめ』と言わんがばかりの顔で登場するので、触れざるを得ない。一番困るのは現地アメリカメディアからの質問で、『あれはなんて書いてあるんだ?』『どこがおもしろいのか?』と聞かれても、うまい言葉が見つからない。そこは言葉に窮しますね」
メジャー通算3,000本安打まであと65本で迎える今シーズン。さらに、地元紙「ニューヨーク・タイムズ」によれば、その先の50歳現役まで宣言したイチロー。野球の神様に愛された男であることは間違いないが、オリジナルTシャツのセンスはそろそろ限界にきているのかもしれない。
- 佐々木浩司(ささき・こうじ)
- 1980年群馬県生まれ。スポーツ誌の契約記者を経てフリーに。現在は主に、週刊誌やビジネス誌で活動中。得意分野は芸能、プロ野球、サッカーなど。主な著書に『黄金のGT』(晋遊舎)、『洗脳のすべて』(宝島社)、『実話ナックルズ』(ミリオン出版)など。