脳研究者・池谷裕二「“三つ子の魂百まで”は、科学的に正しいのです」~脳の癖を解き明かす人間力 (1/2ページ)

日刊大衆

脳研究者・池谷裕二「“三つ子の魂百まで”は、科学的に正しいのです」~脳の癖を解き明かす人間力

 黄色ってこの世に存在すると思いますか? 多くの人は黄色と言われたら、どんな色なのか、思い浮かべることができると思います。でも、実は黄色という色は幻覚なんですよ。目の網膜のセンサーには赤、緑、青しかありません。黄色のセンサーはないんです。では、なぜ黄色に見えるのか。これは、簡単に試すことができます。目の真ん中に仕切りを置き、右目に赤、左目に緑を置くと、黄色が見えるのです。赤色と緑色のセンサーが同時に示されると、黄色という本来、存在しないものが見える。つまり、黄色は幻覚なのです。

 何がいいたいかというと、皆さんは黄色の存在を疑ったことがないと思います。しかし、その実体は、実は脳が、そう信じ込んでいるだけ。その脳の信じ込みが、認知バイアスと呼ばれるものです。要は、脳の癖ですね。人は、自分の意思で動いていると感じている方が多いと思いますが、勝手に、脳の中の認知バイアスが、作動していることがほとんどなのです。

 親父を見ていて、あんな人間にはなりたくないなと思っていても、気が付いたら、親父と同じような行動をしているということはありませんか? それで自己嫌悪に陥ることも。認知バイアスは、生まれたばかりの子供には少ないんですよ。だから、ある程度成長するまで、黄色を認識できないのです。目の錯覚を使ったトリックアートも同じに見える。赤ちゃんは、奥行きなんて知らないから。物が小さく見えるには、遠くにあるからというのと、単に物が小さいからという2つのパターンがあるということを、成長の段階で徐々に学んでいくのです。

 つまりは、経験を取り込んでいく。経験によって、こういう時には、こう判断するべきだという基準、つまり「偏見」を身につけていく。言い換えれば、経験とは、選択肢の幅を狭めること。幼少時に持っていた広大なポテンシャルから、特定の可能性を捨てることが、経験なのです。

 実際、赤ちゃんは、ものすごくたくさんの脳神経を持っていますが、3歳くらいまでの間に、持って生まれた脳神経の7割ぐらいを殺してしまいます。生きていくのに、不要な神経は、不良在庫ですから、分解してエネルギーに変えてしまう。その時に残った3割を100歳までずっと使い続けます。「三つ子の魂百まで」という言葉は、科学的にも正しいのです。

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