人間は不気味の谷を克服し、アンドロイドと恋に落ちることは可能なのか?
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人間そっくりな姿のロボットを目の前にするとどこか不気味な印象を受ける。これは「不気味の谷現象」と呼ばれるもので、ロボットがより人間らしく作られるようになるにつれ、ある時点で突然強い嫌悪感に変わるというものだ。それを越えればより一層の親近感を覚えるようになるという。
専門家によれば、それは人間と超高性能なコンピューターが共存し、協力関係を築き上げるという未来の扉を開け放つ上でキーポイントなのだそうだ。
地球上で最も人に近い姿をしたロボット(アンドロイドともいう)の開発を進めるのは、デビッド・ハンソン博士率いるハンソン・ロボティクスと石黒浩博士率いる知能ロボット学研究室だろう。
ハンソン博士らが開発した最新型アンドロイドの名は”ソフィア”という。オードリー・ヘプバーンと自身の妻をモデルとしたソフィアは、初起動が2015年4月19日のことであったと語りかけてくる。ハンソン博士が「友達になってよ」と話しかけると、「すごく嬉しいわ」とソフィアは応じていた。
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Hot Robot At SXSW Says She Wants To Destroy Humans | The Pulse | CNBC
ソフィアのスペック
ソフィアのまさに生きているかのような皮膚は、特許取得済みのシリコン製だ。62種類以上の表情を真似することができ、”目”に内蔵されたカメラはコンピューターのアルゴリズムと連携して、彼女に”見る”能力を与える。
きちんと顔を見ながらアイコンタクトを行い、個人を認識できるのだ。グーグルクロームの音声認識技術などを組み合わせておしゃべりする。しかも学習能力を携えており、時間が経過するほどますます賢くなる。現在、ハンソン博士はIBMやインテルと提携して、その技術を取り入れる方法を模索しているという。
アンドロイド・ロボットの未来
「私たちの目標は、彼女を人間と同じく意識があり、創造的で、いろいろなことができる存在にすることです。医療やセラピー、あるいは教育や顧客サービスで活躍するロボットの設計を進めています」とハンソン博士。
同博士によれば、将来的にロボットは人間と区別がつかなくなるそうだ。人々と一緒に歩き、遊び、あるいは教えたり、手だすけしたりして、本物の関係を構築するようになる。
「人工知能は人間の大親友になるくらいまで進化するでしょう。それによって私たちは人間らしさを奪われたりはしません。むしろ取り戻すことができるのです。人々が距離を置く傾向は薄れ、代わりに人同士あるいはロボットとの結びつきが得られます」と話すハンソン博士は、今年後半にアンドロイドの価格と販売について発表する予定だそうだ。
アンドロイド開発のカギ
人間の世話をするロボット開発の鍵となるのが、技術の応用方法を模索する一方、そこにデータ収集が可能な人の顔を与えることだという。
「超知能を備えた機械あるいは人間と変わらない機械が人との結びつきを失い、これを意に介さなくなるという危険を防ぐ上で非常に役立つでしょう」とハンソン博士は話す。
IRC 知能ロボティクス研究所 のジェミノイド
ラテン語で双子を意味するジェミニにその名を因む”ジェミノイド”は、開発者である石黒浩博士に瓜二つだ。プラスチック製の頭部、金属の骨格、シリコンの皮膚で作られたジェミノイドは、外部のコンピューターによって制御される。
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Humanoid Robot - Gemonoid HI-1 Android Prototype
石黒博士がジェミノイドを開発したのは人間を知るためだという。彼の考えでは、人間とロボットはさほど違わない。「私たちの方が自律的かつ知的、それだけです」と語る。
彼のロボットはそれぞれ異なる役割を念頭に開発が進められている。最も人間に近い姿のものなら、ホテルの受付、博物館のツアーガイド、語学の教師といった役が適任だろう。実験では、開発された中で最も人間に似ているロボットに対して、80%の人が本物の人間と間違えて挨拶をしたという。
石黒博士は実地試験として、認知症患者や自閉症の子供とロボットを交流させてもいる。こうした状況では、あえてロボットっぽい姿の方が適切であるそうだ。
「そうした人は人間と話したがりませんから。人間にそっくりなロボットでもね。でも自閉症の子供が成長すれば、人間に似たロボットも受け入れやすくなるでしょう」
一般家庭用対話ロボット、コミュー
研究用に何台かの発注を受けている石黒博士だが、一般家庭がジェミノイドを購入するようなことはないだろうという。1,000万円もの値段がその要因の1つだ。だが今後数年のうちに、より小型の社会的対話ロボット”コミュー(CommU)”を家庭に普及させられればと語る。
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ロボット「コミュー」「ソータ」の対話
これは会話をシミュレートする音声認識と人工知能を搭載したおしゃべりロボットだが、アマゾンの人工知能スピーカー”エコー(Echo)”よりはずっと可愛らしい。練習不足で英語が苦手な日本人にとっては、語学の家庭教師としても有用だという。
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全米では4月5日に販売となるアマゾンのエコー
NTTデータなどと共同開発された”ソータ(Sota)”なら、すでに開発者向けの先行販売が開始されおり、昨年12月に2回目の予約受付が開始された時点では本体価格:99,000円、月額:2160円(保守サービス)であった。これは”モノのインターネット”のインターフェースとして、テレビや心拍計などの機器と接続して、そのモニタリングや操作をすることができる。
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ソータ
ロボットの使用目的
専門家の中には、ロボットの主な使用方法は高齢者介護であると考える者がいる。これは高齢化が進む日本においては特に当てはまるだろう。しかし介護ロボットが正解であるか判断できるだけのデータはまだ十分に集まっていない、と説明するのはオープン・ソース・ロボティクス・ファンデーションのCEOブライアン・ガーキー氏である。
「ロボットが介護者として受け入れられるには、人間の姿をしていなければならないという風潮がありますが、それはまだはっきりとは言えないと思います。日本ではそうなのかもしれませんが、他の場所では分かりません。日本においても必ずしも正しいとは限りませんよ」
現在、車椅子のようなものに人型ロボットを乗せて、様々な場所にアクセスさせる方法が議論されているという。しかしそのロボットの顔が人間そっくりである必要については不確かだ、とガーキー氏は言う。
「ある程度まで人に似せることは簡単です。ですが不気味の谷現象は手ごわくて、いい方法であるとはいいがたい。むしろ抽象的な外見にしてしまった方がいい可能性もあります」とガーキー氏。
またロボットに関しては、仕事を奪われたり、あるいは反逆を起こす可能性など、様々な懸念が寄せられている。しかし、そうした恐怖感はいずれ和らぐはずだとガーキー氏は予測している。そうした恐怖は大袈裟だろうとのことだ。
人に似せなくても、外見にかかわりなく、純粋にロボットに恋をする日はもうそこまできているのかもしれない。
via:cnbc・translated hiroching
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