北条かや女史と「こじらせ(女子)」炎上を巡る面倒くさい話|やまもといちろうコラム

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炎上の火種に問題あり!?(写真はイメージです)
炎上の火種に問題あり!?(写真はイメージです)

 山本一郎(やまもといちろう)です。炎上を見物しに行ったらすでに物件が燃え落ちていたという経験は比較的良くあるわけで、せっかく見に行ったのに話が終わっていたというのはただひたすらに残念なことです。

 で、今回の北条かや女史と、いわゆる「こじらせ(女子)」を巡る論争というのは、いまもブスブスと燃えて黒煙を上げている状態なのですが、何と言うか、花見の場所を先にとっていたのに敷いていたブルーシートに入られたとかいう感じの「女の縄張り争い」みたいな流れになっていて、どうにも素材のイマイチ感が否めないわけです。

能町氏、雨宮氏、抗議を行う

 要するに、「こじらせ(女子)」という言葉の発案者である雨宮まみ女史に、その言葉を踏んだタイトルの書籍企画を打診したら「これ以上書くことがない」として断られた書籍編集者が、似たような雰囲気の北条かや女史にこの言葉をタイトルに入れた本の出版をさせたら、雨宮女史の機嫌を損ねて騒がれて炎上、という話です。

 北条女史は、前走でも「風邪で休日受診したら7,000円もとられた」発言で医療関係者から盛大に馬鹿にされる事案を引き起こし、直線2ハロンぐらいのタイムはかなりのスピードが出せることは立証してみせただけに、少し注目していたわけですね。

 そこへ、能町みね子女史が、友人である雨宮女史を支持する形で参戦したり、北条女史がガソリンを頑張って撒くようなクソ記事をブログにアップして燃え広がったりしていますが、いかんせん話自体がどうでもいいものなので、せっかくのリングに観客が集まっているのにプロレスが面白くないのです。ある程度、拠って立つところが明確な雨宮女史とマッチメイクされるほど、北条女史の完成度が高くなく、ある意味で「うぉーっ」と論理的に攻め込んだら「責められる可哀想な私。死んでお詫びします」みたいな話になって、ちょっと塩分が多すぎやせんか、と思うわけです。

■雑に用語を扱えば扱うほど注目される!?

 以前も、久谷女子というWEB系女性ヲタが集まった同人活動において、勝手に誰かをモデルにした小説を書いたの書かないの、結婚パーティーで誰を呼ぶの呼ばないのとかいう微妙な揉め事を起こして好事家の注目を集めておりました。それはもう、村長を中心にみなこぞってヲチしたものです。

 しかしながら、今回の件はさすがにカロリーが低すぎて言葉の定義云々や書籍タイトルどうのこうのでコトバを独占したとか悪意を持って貶めたなどと、往年の林真理子女史でも言わないようなフィジカル頼みになりかねず、やはりレスラーとしての全般的に質の低下は否定できないなあと思うところです。

 一方、ウェブ界隈全体で見るならば、やはり新星は貴重です。イケダハヤト師であれ、北条かや女史であれ、人材というか個性は大事なわけですよ。どうみても北条女史はイケダハヤト師を女装して口紅塗らせた存在にしか見えない。だがそこがいい。で、その言っていることややってきたことの中身はともかく、自分の10年前、20年前を思い返すとそれはそれでイタい言動を繰り返してきたことを比較して、自省と自制をして、心を穏やかにし、謙虚に新芽を受け入れ、麦を育てるごとく踏んで強くすることは心がけても、根こそぎ刈り取って何も生えなくなるような事態だけは避けたいと思うわけであります。

 それを言い始めたら、ウェブでの論争を「ウェブ炎上」と最初に表現したのは私だということになっているし、実際そうなのかもしれないけど、それってあんまり意味ないんですよね。そこで荻上チキさんやその他書き手の人が、ウェブでの現象のひとつとして「炎上」というキーワードを取り上げて本を書いたからといって「その言葉は私が最初に使ったんだぞ」とクレームをつけたところで、自分の人間性の器のおちょこのような小ささを自認するようなもので、まあ最初に言ったのは私かも知れんが現象を正確に表現するにあたってこの言葉がピッタリだと思うんならどんどん使ってよ、としか思わないわけです。

 翻って今回のこじらせ(女子)については、上記Togetterでにしむらさんが指摘しておられるように「ここから得られる教訓は、『引用と先行研究の解釈は丁寧にやろう』ということ」なのでしょう。

ここから得られる教訓は、「引用と先行研究の解釈は丁寧にやろう」ということなのだが、 今風のフリーライターって仕事を雑にやればやるほど、用語を雑に扱えば扱うほど注目されやすいのかもな。 創作とか別の特技持ってる人以外はズルしてでも名前売るしかないからな。

 そうなると、そもそも大して確立した定義もなく、発案者をして本を書くほどの蓄積もないこじらせ(女子)というワードが、雑な仕事をする北条かや女史や出版編集者によって間口を広げられて消費され空気が乾燥していく過程で、人間関係や解釈の擦れによって摩擦熱が発生して付近にあった衣類に引火、そのまま小火となって黒煙が上がったということになるのでしょう。

 どうせなら勝手に言葉をタイトルに使ったとされる編集者と出版社も派手に引火炎上していただきたいと願いつつも、それほどの問題でもないよなあという感じもするわけであります。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

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