堀江貴文vs.給与明細を公開して年収アップを要求した京大教授の問題点|やまもといちろうコラム (2/2ページ)
■日本衰退の危険性
これは、わずかながら私にも関係のあることなので申し上げますと、ぶっちゃけ東京大学や京都大学などの日本では有数の大学であっても、なかなか研究費が潤沢ではなく、科研費もそう簡単に通らないという現実があります。
AO入試の問題点など、いくつか大学改革関連の話はウェブにも書きましたが、それ以上に、意味のある研究を行うための予算が乏しい件については、あれだけ技術立国だ、教育投資だといっていながら、なかなかむつかしいものがあるのかなあと感じるところです。
単純な話、いくつか社会的な先導テーマを並べて研究でご一緒できる人を某大学が外から招聘しようとして、先方もいいねいいねと乗り気であったにもかかわらず、特任准教授のポストで払われる費用が先方の要求の五分の一以下の額で結局断られた、というような事例には事欠かないのが日本の定番です。
「良い研究者を集めて、質の良い研究プロジェクトを作ろう」としても、研究者のギャラが世界標準からみてとてつもなく安く、居残る人たちは基本的にはあまり海外に通用しない人たちばかりになるため、象牙の党になりやすいのが日本の大学改革の大きな障害であるとも言えます。全員が駄目ではないにせよ、待遇の良い海外の大学や研究機関から声がかからず、それまでの研究者に過ぎないというのは、日本としても物悲しいところでもあります。
日本は企業の研究開発組織が強いので大学では基本的な素養さえ教えてくれれば充分、とまで言われた80年代90年代の世界観では、なかなか通用しないのも事実です。大学は、就職のための予備校なのかという議論もいまは昔、やはり社会全体がトータルできちんとした知的財産を国民の中に築いて経済効率を引き上げていくプロセスを考えない限り、日本は衰亡していってしまうんじゃないかと思うわけですが、如何でしょうか。
そういう着眼点から全体を敷衍するならば、やはり「保育園に落ちた日本死ね!!」問題は、国家や社会がどういう国富を目指していき、そのためにはどういう教育が必要なのかをしっかりと踏まえない限り、なかなか改善していかないのではないかと思います。
著者プロフィール

ブロガー/個人投資家
やまもといちろう
慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数
公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)