1週間超えたら要注意!医学博士が語る、赤ちゃんの生理的変化「新生児黄疸」の特徴
初めての出産は何かと不安の多いもの。無事に生まれて来てくれて嬉しく思う反面、今後この子に何かあったらどうしようと、なかなか落ち着きません。
特に、急に赤ちゃんのお肌の色が黄色くなってきてしまったというような場合、どこか悪いのではないかと不安に感じてしまう方もいらっしゃいます。
大半の場合は『新生児黄疸』ですので心配いりません。一方、『高ビリルビン血症』などの疾患が隠れている場合もございます。
そこで今回は、“生理的な変化である『新生児黄疸』と、症状が似た気づきにくい疾患”についてお話して行きたいと思います。
■「新生児黄疸」は赤ちゃんの生理的な変化
生まれたばかりの可愛いわが子。1日1日の変化に目を奪われます。しかし、生後間もなく変わってきた赤ちゃんの皮膚の色。なんだか黄色みを帯びてきました……。
でもご安心を。『新生児黄疸』はあくまでも生理的な変化です。そもそも『新生児黄疸』となってしまう理由について考えてみましょう。
黄疸の原因となるものの大元は“赤血球”です。赤血球はなぜ赤いか? これは赤血球の中に含まれている“ヘモグロビン”の色なのです。
少々専門的なお話になってしまいますが、ヘモグロビンは、ヘムと言う鉄分を含む色素とグロビンと言うタンパク質から作られています。よく血は鉄の味がすると言いますが、これはヘモグロビンがそのように感じさせているのです。
さて、このヘモグロビンのうちのヘムですが、更にこれは“鉄”と“ビリルビン”という物質に分けられます。
赤血球にも寿命があり、寿命を迎えると、主に脾臓で破壊されて最終的に鉄やビリルビンまで分解されるのです。
胎生期には、このビリルビンは母体を通じて排泄していましたが、出生と同時に赤ちゃんの肝臓でグルクロン酸抱合と言う生理的な作用によって“直接ビリルビン”と言うものに変換して、便などに排泄するようになります。
出生してからこのような現象が起こるため、まだ外界と接して間もない赤ちゃんは、肝臓の機能が上手く働いておらず、ビリルビンの処理がしきれません。そのため、うまく排泄されず血液中の濃度が上昇してしまい、ビリルビンが体中を巡るので黄色く見えてしまうのです。
これが『新生児黄疸』と呼ばれるものです。
■「新生児黄疸」の期間目安は1週間
『新生児黄疸』は黄色い色をしているので、最初に目につく部分は、やはり赤ちゃんの体の中で最も白い部分、目の白目の部分です。
皮膚と比べて白いために、色の違いが目立つようになります。その後、体が少し黄色っぽくなってくるので、これが『新生児黄疸』であると認識しやすくなります。
出生後2~3日頃から出ることが多いのですが、個人差もありますので、おおよそ1週間以内に出現すると考えてください。
そして、生後7日目に『新生児黄疸』のピークを迎え、その後徐々に消退していきます。
ですから初めて見たときにはびっくりしてしまうかもしれませんが、病的なものではなく人間であるが故の生理現象ですので、見守ってあげるようにしましょう。
ただし、1週間を超えてもなかなか消えてこない、余計に黄色くなってしまったと言う時には、何かしらの疾患である可能性もゼロではありませんので、そのような場合は産婦人科医に相談してみましょう。
■疾患の疑いがある黄疸
先ほどお話した、黄疸のメカニズムの中で“ビリルビン”というキーワードが出てきました。こちらは医学的には“間接ビリルビン”と呼ばれるものなのですが、これが肝臓でグルクロン酸抱合というものを受けると“直接ビリルビン”になります。
この直接ビリルビンは消化管に出て行くものです。
普段、私達も直接ビリルビンを目にしています。それが“便の色”なのです。結局は、便の色と言うのは“破壊された赤血球の残骸”と考えればわかりやすいかもしれません。
ということは、赤ちゃんの場合はなかなか区別がつきにくいのですが、便が真っ白であった場合、直接ビリルビンが上手く排泄されていない可能性も否定できません。すなわち黄疸が出続けてしまうということになってしまいます。
もちろんこれは産婦人科医も気が付くかもしれませんが、知識として知っておいても良いかもしれません。
さて、間接ビリルビンにお話を戻しますが、結論から言うと黄疸が出続けるということは、血液中に間接ビリルビンが残り続けるということになりますので、あまり良いことではありません。
間接ビリルビンは脂溶性であり、さらに神経毒性もあります。逆に直接ビリルビンは、水溶性で神経毒性もありません。
間接ビリルビンが異常に多く産生されたり、直接ビリルビンになる量が減少して、神経系に障害を受けてしまうようなものを『高ビリルビン血症』と言います。
高ビリルビン血症が起こるものの疾患には『新生児肝炎』、『先天性胆道閉鎖症』、『先天性胆道拡張症』などがありますが、このような疾患が認められた場合、外科的な手術が必要になってしまうこともあります。
いかがでしたか?
『新生児黄疸』自体は生理的なものであるために、そこまで心配することはありません。おおよそ1週間を超えると徐々に消えてきます。
しかし、1週間を超えても全然変化がない、余計に黄疸が出てきてしまったという場合には、上述したような疾患の可能性も否定できませんので、産婦人科医に相談してみるようにしてみましょう。
【参考・画像】
※ 標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野 小児科学 第4版 / 冨田 豊 / 医学書…
※ Alina R / Shutterstock
※ ammy / PIXTA
【著者略歴】
※ 川上 智史・・・北里大学大学院医療系研究科医学専攻博士課程修了、医学博士。予防医学を専門とし、医学的に美と健康に主眼を置き研究を続ける。各種教育機関や講演会において予防の重要性を啓発している。