風邪に似てる…!? 医学博士が語る、小児に多い「溶連菌感染症」の予防法

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風邪に似てる…!? 医学博士が語る、小児に多い「溶連菌感染症」の予防法

溶連菌感染症、正確に言うと“A群溶血性レンサ球菌感染症”。子どもに多い病気として、テレビや新聞などで耳にしたことがある方も多いのではないしょうか。

この時期だけではなく、春先や夏、冬にも流行りやすい、ある意味通年で感染してしまう可能性のあるものです。

喉に強い痛みが生じるだけでなく高熱を伴い、最悪の場合は続発症が出てきてしまうので注意が必要です。

そこで今回は、医学博士で予防医学に精通する筆者が“溶連菌感染症とその予防法”についてご紹介します。

■レンサ球菌は撃退できる!「菌」と「ウイルス」の違いを知る

溶連菌感染症は、“レンサ球菌”による感染症です。ということは、その正体は“菌”であることがお分かり頂けると考えられます。

一般的に風邪と似た症状を引き起こしますが、通常、風邪の原因となるものには菌よりもウイルスが原因となるケースが多いです。

それではここで気になるのが菌とウイルスの違いです。

菌とは、基本的に自己増殖能力があるので、“生物”として扱われますが、ウイルスには自己増殖能力がなく、人間の細胞のシステムを利用して増殖するもので、生命体ではありません。

様々な考え方がありますが、ウイルスは“物体”として考えて頂けると分かりやすいかもしれません。

ですから、ウイルスが原因で風邪を引いてしまった時には、元々生命体ではないわけですからやっつけることもできないため、特効薬がほとんどないのです。

自分の免疫によって、ウイルスを地道に撃退するしかありません。それに対して“菌は生命体”なので、抗生物質の投与により撃退することが出来ます。

■溶連菌の「飛沫感染」にご注意

溶連菌による感染は、溶連菌感染症の患者さんを介して感染することが多いです。

溶連菌に感染している患者さんは、最初風邪と似て、くしゃみや鼻水、咳などの症状が出ます。

そもそも、これらの症状は「菌を外に出そう」という働き。すなわち。くしゃみや咳の際に出てくる唾液中には、多くの菌が含まれているということが言えます。

その唾液中に含まれる菌によって感染してしまうようなものを“飛沫感染(ひまつかんせん)”と言います。

ということは、学校や家庭など人と接する機会の多いところで、知らず知らずのうちに感染してしまっているという可能性も十分に考えられます。

この溶連菌は、大人はもちろん3歳以下の乳幼児でも感染することがあります。典型的な症状を引き起こすことは少ないとされていますが、ゼロではありませんので、注意が必要です。

最も感染しやすいのが、学童期の小児とされています。学校へ行っている間に外で遊んだり、友達が溶連菌感染症であるなど、様々な要因が多くあります。

また、ご兄弟がいる場合では一緒にいる時間が長いので、感染率が25%と、非常に高い値を示しています。溶連菌と診断されたら、治るまでは別の部屋で眠るなど、回復するまで我慢しましょう。

■流行の波は「年に2回」やってくる

まさに今のこの時期溶連菌に感染しやすい時期であると考えられます。

感染症発生動向調査のデータによると、冬に起こりやすいのも事実ですが、それと同時に春から初夏にかけても流行してしまうというデータがあります。

一般的に感染症は、年に1回特定の時期に流行するということが多いのですが、この溶連菌による感染症は、大きく分けて年に2回流行期があると考えておいてください。

また、最近溶連菌が多いなあと感じることもあるかもしれませんが、実は絶対数はそんなに変化がありません。

医療の進歩によって、溶連菌による感染症と確定できるような“検査キット”が発展したために、特定できるようになったということが言えます。

■風邪と思っての油断は禁物!溶連菌による「感染症状」

溶連菌に感染すると潜伏期間(体の中で増殖している期間)を経ておおよそ2~5日くらいで急激な高熱が出てきます。この段階でぐったりしてしまうことも多く見受けられます。

最初は、風邪と症状が似ているために「風邪かな?」と油断してはいけません。同時にのどが非常に強く腫れてしまうために、飲み込むのも辛い状況となってしまいます。また、場合によっては首のリンパ節まで腫れてしまうということもあります。

その後、しばらくして発疹が手足や体全体に出てきてしまいます。またこの発疹の特徴として舌に出てくることがあり、舌にポツポツが出来てしまう“イチゴ舌”も特徴的です。

もちろん体調によっては発疹も出てこないということもあり、発疹が出ない=溶連菌感染症ではないということではありませんので、早めに小児科へ受診するようにしてみましょう。

また、溶連菌は重大な合併症も引き起こしてしまう可能性があります。例えば血尿が出てきてしまったり、全身がむくむような場合、腎臓に障害が出てきてしまう“急性糸球体腎炎”、心臓にダメージを与えてしまう“リウマチ熱”など重症化してしまうケースもあるので注意が必要です。

■処方された抗生物質は飲みきろう!「溶連菌の治療」

溶連菌の原因は“菌”が原因ですので、その菌そのものをやっつける必要があります。

治療方法としては抗生物質の使用となります。ただここで注意して欲しいのが、「お医者さんから出された抗生物質は飲みきる」ということを心がけてください。

症状が治まったとしても、まだ溶連菌が残っていればそこから増殖することによって再び症状がぶり返してしまうという可能性も否定できません。

最近では“多剤耐性菌”といって抗生物質を飲み過ぎると、その抗生物質が効かなくなってしまうような菌も出てきてしまうということが問題となっております。

ですから、お医者さんから出された抗生物質は、後々まで残しておくことなく処方された分を飲みきるようにさせてください。

■高熱が出たら安静!「溶連菌の予防」

溶連菌感染症に限らずですが、ならないにこしたことはありません。それでは予防するにはどうしたら良いのでしょうか?

まず、溶連菌で高熱が出ているときには感染しやすいという特徴があります。

これは溶連菌が活発に活動しており、それに対して免疫が働いているからです。ですから高熱が出ている間は、安静にすることが最も重要となります。

また、学校保健安全法では“第三種”として取り扱われており、「お医者さんにかかった日とその次の日」は学校休まなくてはなりません。

インフルエンザと違い、溶連菌に対してはワクチンがありませんので、日々の生活の中で予防をしていくということが重要になります。

飛沫感染するわけですから、溶連菌感染症が流行り始めたらマスクを着用し、手洗い・うがいを忘れずに行いましょう。

家族で溶連菌に感染してしまった場合は、同じタオルなどを使用することで感染してしまう可能性も否定できませんので、共用のものは治るまで別なものを使用するようにして下さい。

いかがでしたか?

風邪と勘違いしやすい“溶連菌感染症”。自己判断せず、万が一の際も早めの診断で二次感染を防ぎましょう。

日々の予防を心がけ、健康でハッピーな生活を送りましょう!

【参考・画像】

※ NIID国立感染研究所

※ WeStudio / Oksana Kuzmina – Shutterstock

【著者略歴】

※ 川上 智史・・・北里大学大学院医療系研究科医学専攻博士課程修了、医学博士。予防医学を専門とし、医学的に美と健康に主眼を置き研究を続ける。各種教育機関や講演会において予防の重要性を啓発している。

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