確率が20%近くUPする!? 子宮外妊娠にみる「着床トラブル」を繰り返す理由
妊娠が成立するためには“着床”が必ず必要です。女性はおおよそ月に一度排卵を行いますが(場合によっては排卵しないこともあります)、その時に排卵された卵子が精子と出会って受精し、受精卵となったものが子宮内膜に着床することで初めて妊娠成立ということになります。
受精卵となったとしても着床しなくては妊娠が成立しないのです。この際に着床しにくい状態を“着床トラブル”ということがあります。
今日は医学博士の筆者が現代女性に“着床トラブルが増えているその理由”についてお伝えします。
■現代女性に多い「着床トラブル」とは
精子が卵子と出会って初めて受精卵となり、この受精卵が子宮内膜に定着することを“着床”と呼び、この着床する部位は通常子宮内膜となります。
一般的に子宮内膜は“ふかふかベッド”と言う表現もすることがあるようですが、これは一般的な使い方としては分かりやすい表現です。子宮内膜がふかふかベッドであれば受精卵も居心地が良く、着床しやすい環境であるからです。
しかし逆を言えば、子宮内膜があまりふかふかでない、ふかふかであったとしても子宮に何かしらの基礎疾患があるとなかなか着床しにくい環境であるとも言われています。着床トラブルとして一般的なのが“着床障害”や“異所性妊娠”です。
●着床障害
受精卵が子宮内膜に定着しないようなことを指します。こちらはホルモンバランスが良くないことで子宮内膜が上手く形成できない、形成できたとしても6mm以下と薄い状態であり着床しにくいものを指します。
●異所性妊娠
子宮内膜以外で着床する事を指し、子宮外妊娠などもこちらに相当します。特に子宮外妊娠では卵管に着床してしまうものが多いとされています。まれに子宮頸部でもあるようですが、こちらは例が非常に少ないです。日本産婦人科学会によるとこの子宮外妊娠は全体の1~2%と言われています。
■その確率は20%も!子宮外妊娠は繰り返しやすい?
子宮外妊娠をしてしまうことによって、本来受精卵は子宮内膜で成長していくのですが、卵管などで着床してしまうことで成長しにくい状態となってしまっています。また成長していく過程で卵管が圧迫されることで破れてしまい、出血や下腹部痛の原因となってしまう可能性も否定できません。
子宮外妊娠は初期の段階において通常の妊娠時と症状が同じであるために、自分では気が付かないことが多いです。
産婦人科でエコー検査などをしてもらうことによって初めてわかるというケースが多いです。また一度子宮外妊娠をすると再び子宮外妊娠をする確率は約10~25%と高い値がデータとして出ています。
クラミジアを代表的とする性行為感染症が近年増加しています。これら感染症によって子宮の環境が変わってしまうことが子宮外妊娠の原因の一つであると考えられています。
またそれ以外にも骨盤腹膜炎、腹部手術、子宮外妊娠などの既往がある場合、子宮外妊娠のリスクが高まってしまうと言われています。
■着床トラブルを招く原因と対処法
今回はいつくかある着床トラブルのうち子宮外妊娠と着床障害についてその原因と対処法をお伝えします。
●子宮外妊娠
日常生活を送っていく上で残念ながら予防は出来ないと言われています。実際に妊娠の兆候があってから、産婦人科で薬物療法や手術、温存などによって治療を行うという形になります。もちろんどのような状態であっても早期発見・早期治療が重要になりますから、妊娠の兆候がみられたらすぐに産婦人科へかかるようにしましょう。
●着床障害
全てではありませんが、ある程度普段の生活の中で予防することが出来ると言われています。そもそも子宮内膜は女性ホルモンの作用によって環境が整えられます。女性ホルモンは大きく分けてプロゲステロンと呼ばれる黄体ホルモンとエストロゲンと呼ばれる卵胞ホルモンの二種類があります。
エストロゲンは簡単に言うと排卵をさせるためのホルモンであり、プロゲステロンは排卵後、子宮内膜を厚くするためのホルモンです。
これらのホルモンがしっかりと分泌することによって子宮内膜の環境が調節できます。これが一般的に言うホルモンバランスと呼ばれるものです。
このホルモンバランスはストレスや生活習慣によって崩れてしまうことがあり、禁煙を心がける、バランスの良い食事、適度な運動、疲労回復のための睡眠などいわゆる生活習慣の改善によって子宮内膜の環境の改善されるということが一つ挙げられます。
まずはご自身の生活習慣を改善し、変化が見られない場合は無理せずに産婦人科に相談してみるとよいでしょう。ホルモンバランスを整えるためのお薬や注射をして様子を見るということもあります。
まずはご自身のトラブルを把握し、繰り返さないためにも適切な対処をとっていくことをおすすめします。
【参考・画像】
※ 中井章人(2008)「周産期看護マニュアルよくわかるリスクサインと病態生理」(東京医学社)
※ THE MERCK MANUALS ONLINE MEDICAL LIBRALY, MSD
※ wavebreakmedia / PIXTA
【著者略歴】
※ 川上 智史・・・北里大学大学院医療系研究科医学専攻博士課程修了、医学博士。予防医学を専門とし、医学的に美と健康に主眼を置き研究を続ける。各種教育機関や講演会において予防の重要性を啓発している。