五体満足なのにダメ…?「挫折・失敗」に打ち勝つための自己肯定感の育み方
妊娠してもうすぐママとなる方の多くは、お腹のわが子に対して「五体満足で生まれてきてくれさえすればいい」と思うことでしょう。でも五体のうち、四体ともない状態、生まれつき両腕と両足がない障害、“先天性四肢切断”という最重度の障害を持ってこの世に生を受けた人もいます。それが乙武洋匡さん。
最近世間を騒がせたニュースで話題となりましたが、彼は障害であることをものともしない、おおよそ不幸とは無縁の幸せに満ちた顔をしています。どうしてあんなに自信に満ち溢れた輝いた顔をしているのでしょう?
今日は、『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者の立石美津子が乙武さんのお母様の育児をヒントに“自己肯定感がなぜ育児で大切なの?”についてお話します。
■乙武さんのお母さんが誕生時に発した言葉
乙武さんは自身の生い立ちと出生時の母親の反応をご自身の著書『五体不満足』で以下のように書いています。
「オギャー、オギャー」火が付いたかのような泣き声とともに、ひとりの赤ん坊が生まれた。元気な男の子だ。平凡な夫婦の、平凡な出産。ただひとつ、その男の子に手と足がないということ以外は。
手足のない我が子との対面。「かわいい」母の口をついて出てきた言葉は、そこに居合わせた人々の予期に反するものだった
さらに、
この母子初対面の成功は、傍から見る以上に意味のあるものだったと思う。・・・中略・・・母が、ボクに対して初めて抱いた感情は、驚き悲しみではなく、喜びだった。生後1ヵ月、ようやくボクは「誕生」した
手足がない子どもは、通常“大変な不幸をしょって生まれた子”と思うでしょう。でも、乙武さんのお母さんは違いました。最初からすべてを受け入れました。だから、乙武さんは「障害は不便ではあるが不幸と感じたことは一度もない」と言い切ります。
■「自己肯定感がある子」はどんな育てられ方をしてる?
よく、“自尊感情・自己肯定感を育むことが大切”と言われます。それではこれらはどうやって作るのでしょう?
自己肯定感とは「自分はかけがえのない大切な存在だ」と自分のことを好きでいる気持ちです。これは親が「どんな状態であってもあなたを愛する」ことでしか育まれません。
親から見て期待通りに育っていなくても受け入れることです。○○出来る子はいい子、そうではないと悪い子、優秀でないと受け入れない、出来が悪いと否定するでは育たないのです。
子どもを一番守ってやるべき親が子どもをありのまま受け入れないと、子どもは幸せにはなれません。
■「男の子らしくない」子だったら?
男の子は青色が好きで怪獣ごっこや電車に興味を持ち、野原を駆け回る、そんな固定観念を持っていると、男の子なのにおとなしく、赤やピンクが好きでお人形ばかりで遊んでいると「男らしくしなさい!」と言いたくなります。
中には「ひょっとして性同一性障害?」と不安がよぎるママもいるかもしれません。でも、もし子どもが性同一性障害だったら「うちの子ではない」と捨てるのでしょうか?そうではありませんよね。
日本はまだまだ男性同士手をつないだりしていると冷ややかな目で見られます。だから、自分の気持ちを殺して他の人と変わらない風を装い苦しみます。でも、本人はとても苦しいですよね。
そんな時、守ってやるべき親が世間側について一緒に追い詰めたら、子どもは不幸な人生を歩むことになるでしょう。たとえどんな状態でも家族が受け入れ、シェルターともなる居場所を残してあげることが大切です。
途中挫折し、失敗することもあるでしょう。でも、そこからどう立ち上がるか?その軸となるものも自己肯定感が育まれているかどうかで大きく変わってくるはずです。
いかがでしたか。
乙武さんの人生は、本来の私たちの常識からすれば不便で苦難に満ちている人生だったと思いますが、絶望や不幸とは無縁の人生を謳歌し、今でもたくさんの人に影響を与えています。
今回のニュースで起こってしまったことは彼がコメントしている通り、家族の信頼を裏切る行為だったと思います。けれど、乙武さんの自己肯定感を育む愛情を注いだお母様の母親としての行動や言動においては見習うべきことが多いのではないでしょうか。
どうしても自分の理想の育児を追うばかり、母親として「こんな子に育てたい」という想いが独り歩きしてしまいがちですが、目の前のわが子が自分だけの人生を自分らしく謳歌できるようにサポートする側に立った育児をしてみてくださいね。
【参考・画像】
※ 乙武洋匡(2001)五体不満足(講談社)
※ 乙武洋匡(2013)自分を愛する力ー僕が明るく生きられる理由(講談社現代新書)
※ Sunny studio/ Shutterstock
【著者略歴】
※ 立石美津子・・・専門家ライター。32歳で学習塾を起業。現在は保育園、幼稚園で指導しながら執筆・講演活動に奔走。自らは自閉症児の子育て中。著書に『小学校に入る前に親がやってはいけない115のこと』『読み書き算数ができる子にするために親がやってはいけない104のこと』『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』『「はずれ先生」にあたった時に読む本』『一人でできる子が育つ「テキトーかあさん」のすすめ』