10分でわかる「パナマ文書」 世界が震撼するスキャンダルを完全解説 (2/3ページ)
「また、法人の証券や預貯金にも税金はかかりません。これに目をつけた企業が、次々とパナマにペーパーカンパニーを置き、そこに株式投資などで資金を移す。こうやって、自国での納税額を低く抑えているのです。こうした場所は世界に多数あり、中でもカリブ海に浮かぶイギリス領ケイマン諸島には、5階建てのビルに1万8000社が登記しているなど、ほぼ無法地帯です」(前同)
海難事故などのニュースで「パナマ船籍の船」という言葉を聞いたことがある方も多いだろうが、これもカラクリは一緒。パナマの会社で船を登録しておけば、登録料はかかるものの、その他の税金はゼロなのだ。実は、タックスヘイブンを使っての節税は、現在の法律において厳密には違法ではない場合が多い。「とはいえ、完全に合法でもなく、多くの企業や資産家が、巧妙に資産を分散させて法の網をうまくすり抜けている。“違法でない”というだけで、れっきとした脱税行為です」(前同)
さらに問題なのは、影響が単に当事者の財布にとどまらないことだ。「数年前、トヨタやみずほ銀行など日本の企業が、これまでにケイマン諸島を利用して“節税”した額の累計は約55兆円という報道が出ましたが、仮に、きちんと日本に納税されていたら、現在の法人税率で計算すると、14兆円以上にも上ったはずです。それを補てんするために消費増税や、さまざまな社会保障の削減が行われたわけですから、納得いきませんよね」(前出の経済誌記者)
さらに、タックスヘイブンへの資金流出は、日本国内に出回る金が、それだけ減るということでもある。「企業の株価は上がっても給料が上がらず、国内消費が減速し、不景気が続く理由はそれ。2013年の時点で、世界中のタックスヘイブンで個人分だけでも2100兆円以上が滞留しており、日本は、その2位の金額を占めています。この資金が日本でちゃんと回っていたら、今頃は全国民の所得が月に10万円近くは違ったという試算もあるんですよ」(前同)
前述のようにタックスヘイブンの問題は、これまでにも繰り返し報じられてきたのだが、今回のパナマ文書が、これまでと違ってセンセーショナルだったのは、数多くの著名人や要人の名前が並んでいたことだ。