障害がある子なら堕胎する…?高齢出産で「出生前検査」を受ける厳しい現実<連載第7回> (2/3ページ)
それでまた出生前検査をして、再びアウトの判定が出たら、どうするのか?
そもそも、さっきから“アウトアウト”と言ってるけど、障害を持って生まれた子はアウトなんかじゃない。そんなことは頭ではわかっていても、心が、感情が追いつかない。
ちなみに出生前検査とは、高齢出産である35歳以上の妊婦しか受けることは許されない。つまり、不妊治療でやっと子宝に恵まれた高齢夫婦ほど“わが子の生き殺し”という苦行に直面させられるのだ。
■42歳、妻の出した結論とは……?
「もし陽性だった場合の結論は、あらかじめご夫婦で決めておいてください」
医師はそう言うと、ペラ11枚にも及ぶ書類を手渡してきた。その書類とは、出生前検査の同意説明書だった。ペラペラとめくっていくと、
「障害の子が産まれたとしても、それは個性のひとつでしかありません。また、そのような障害をもつことと家族の幸不幸は、本質的に関連がないといわれています」
という文言が目に入ってきた。
「んなこと、わかってるよ……。わかっちゃいるけど、覚悟がつかねえんだよ……」
どんよりとした感情は、やがて澱となり、心の底に沈んでいった。
自室を出てリビングに向かうと、先に同意説明書を読み終えた妻がお腹をさすりながら何やら話しかけている姿を、目の端に捉えた。すると妻は、目線はお腹を向いたまま、しかし今度は僕に向かって話しかけてきた。
「アタシ、何があっても産むね……」
その穏やかな表情と、やさしい口調ながら揺るぎのない宣言。それを見聞きした、瞬間だった。彼女の覚悟に、心の底を強烈にビンタされたような錯覚を覚えた僕は、先ほどまでの不安は不思議と消え、こうつぶやいた。
「うん、そうだよね。ありがとう」
父親になる決意、どんな子であれ受け入れる覚悟。男性はこういう時いつだって無力なのかもしれない。しかし女性は強い。
僕自身、妻から勇気をもらい、一歩ずつ成長“させてもらっている”ことに感謝した。