棺を断崖に吊るすフィリピンの少し変わった葬送「ハンギング・コフィン」 (2/2ページ)
■ハンギング・コフィンが生まれた理由とは?!

さて、このような葬送がなぜこの村では行われるようになったのだろうか。ただ故人の魂を天へ還すことが目的ならばわざわざこのような方法を取らず、山の頂に埋葬するだけで十分だ。その理由を探るため、この地に住む人々やその歴史について少し調べてみた。すると、このような方法を取らざるを得ない事情が見えてきた。
かつて、この地には首狩りを風習とする一族が暮らしていた。今でこそ彼らが首狩りを行うことはなくなったが、当時はまるで勲章でも得るかのように死体から首を取ることが頻繁に行われていたという。それを防ぐため、サガダの人々は遺体の収められた棺を吊るすことにしたのだ。
実に壮絶な歴史である。現代、我々の世界でも事故や事件で身体の一部が失われたまま亡くなる方がいらっしゃるが、そのときの葬式は悲痛だと聞く。ましてやそれが首だったらと考えると――彼らが亡き同胞達の遺体を守るため、天空高くに棺を安置した理由もわかるかもしれない。