IED で足を切断した退役海兵隊員が、史上初めてエベレストの登頂に成功

Photo: Ex-Marine Charlie Linville
米海兵隊の EOD (爆発物処理) として活躍し、アフガニスタンの派兵時に右脚を失った退役傷痍軍人が、世界最高峰である標高 8,848 メートルのエベレスト登頂に成功した。戦時の負傷により切断手術を受けた退役軍人 (Amputee Veteran) が、エベレスト登頂に成功したのは史上初となる。退役軍人の支援をおこなっている非営利団体「ヒーロー・プロジェクト (The Heroes Project) 」が 5 月 19 日に発表した。
チャーリー・リンビル (Charlie Linville) 二等軍曹は、2011 年のアフガニスタン派兵時に IED (簡易爆弾) の爆発によって右脚の膝から下を失った。
これまでに義足と 1 本脚で名立たる山々の登頂に成功しているリンビル軍曹だったが、エベレストへの挑戦は 2 度に渡って諦めている。
2014 年に初めてエベレストへ挑戦を試みるも、雪崩によって 16 名が犠牲となる事故が発生し、引き返さざるを得なかった。また、翌 2015 年に再挑戦するも、ネパールを襲った大規模な地震の影響により、エベレストへの登山が禁止されてしまう。こうした経緯があって、今回で 3 度目の挑戦となっている。
アイダホ州にある地元の公立高校を卒業後、2006 年にカリフォルニア州サンディエゴの海兵隊新兵訓練所 (MCRD: Marine Corps Recruit Depot) のブート・キャンプに参加。訓練を終え、キャンプ・ペンデルトンの歩兵学校 (SOI: School of Infantry) へ進み「アサルトマン (MOS 0351 Infantry Assaultman) 」としての特技区分を修得。
その後、2007 年 9 月から 2008 年 4 月に掛けてイラク・ファルージャに派兵されている。
イラクでの派兵時に爆発物処理に関心を持ったリンビル軍曹は、帰還後に爆発物処理 (2336 Explosive Ordnance Disposal Technician) を修得し特技区分を変更。沖縄のキャンプ・ハンセンに配属され、2010 年 10 月にアフガニスタン・ヘルマンド州へ派兵されている。
2011 年 1 月 20 日、IED の除去作業をおこなっている際に負傷。爆発で宙を舞ったリンビル軍曹は、右脚の膝から下を吹き飛ばされた。延べ 18 ヶ月に渡って 14 度の外科手術が施された。また、爆発の影響により下部脊椎外傷、PTSD (心的外傷後ストレス障害)、軽度の外傷性脳損傷を患っている。
9.11 同時多発テロ事件の起きた 2001 年以来、米軍では 1,645 名を超える兵士が手足を失う重傷を負っている他、数千名が爆発による外傷性脳損傷を患っているとされる。