念の為知っておきたい。「妊娠中離婚」って親権や養育費はどうなるの?
待望のお子さんを授かって、パパと一緒の子育て計画を考えていた矢先、突然離婚をすることになってしまった……。
「親権や子どもの養育費はどうなるの?わたし、一体これからどうなっちゃうの?」
ということが起こり得ないとは言い切れません。
幸せな結婚生活を送っているママたちには、ちょっと不吉なテーマかもしれませんが、万が一そんな事態が起こってしまったときは、法的にどうなるのかについて、興味本位で読んでいただければと思います。
■「生まれる前に離婚が成立」すれば親権者は母親のもの
法律上、お子さんが生まれる前に、両親が離婚した場合の親権者は、母親になると定められています(民法819条3項本文)。
一方、お子さんが生まれた後に離婚をするときは、ママとパパのどちらが親権者になるかを定めなければなりません(同条1項)。
そのため、妊娠中に離婚話が持ち上がった場合、離婚成立の日が、お子さんの出生前と出生後のどちらなのかによって、親権者争いになるかが決まってきます。
なお、お子さんが生まれる前に離婚が成立した場合でも、生まれた後に話し合いで“パパを親権者”とすることもできます(同条3項ただし書)。
■妊娠中離婚でも「養育費」は支払ってもらえるか?
お子さんの養育費については、離婚後であれば請求することが可能です(離婚前であれば婚姻費用(生活費)の支払いを請求することになります)。
なお、念のためにお伝えしますと、養育費はお子さんの育児費用なので、妊娠中やママに親権(監護権)がないときは請求することはできません。
養育費については、よく「離婚前に養育費の取り決めをしたのに払ってもらえない!」という相談をされます。
離婚前後を問わず、養育費の取り決めの合意は法律上有効ですが、執行証書等が作成されていない場合は強制執行ができず、結局調停や審判を起こさなければならなくなるので、注意が必要です。
なお、「公正証書があれば強制執行できる」と考えている方もよくいらっしゃるのですが、公正証書中に、ただちに強制執行に服する旨の陳述がなければ強制執行できないので、当事者間で公正証書を作成するときは気を付けましょう。
■いくらの養育費をもらえるの?
では、一体いくらの養育費をもらえるかについては、裁判所が公表している『養育費・婚姻費用算定表』というものがあり、原則として算定表に基づいて金額が決まります。
例えば、親権者であるママの収入が200万円、パパの収入が600万円で、お子さんの年齢が0~14歳のときは、養育費の額は5万円から6万円の間の額になります。
算定表の額から変動する事情も様々なものがありますので、養育費の額に疑問を持った場合は、弁護士に相談してみるとよいでしょう。
ママたちにはこの記事の知識が活かされないことを願っていますが、いざというときにパパより早く動けるように準備をしておくのも、悪くないかもしれませんよ。
【参考・画像】
※ 養育費・婚姻費用算定表
※ Dmitry Melnikov / Ramona Heim – Shutterstock
【著者略歴】
※ 木川 雅博・・・星野法律事務所(港区西新橋)パートナー弁護士。損害賠償・慰謝料請求、不動産の法律問題、子どもの事故、離婚・男女間のトラブル、墓地・お寺のトラブルその他、法人・個人を問わず様々な事件を扱っています。