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本好きリビドー(107) (2/2ページ)

週刊実話

フリーライターの松沢呉一氏の著書『闇の女たち 消えゆく日本人娼婦の記録』(新潮社/853円・税込)は、戦後日本の路上で客を引き、今は街から姿を消した女たちの素性に迫ったドキュメンタリーである。
 北は札幌から、東京・鶯谷、大阪・天王寺、神戸、広島、博多など、全国各地の娼婦18人へのインタビューが掲載されている。いずれも1990年代末から2000年初頭、現役で娼婦をしていた女たち。おそらく、街頭で営業していた娼婦の最後の生き残りたちだろう。
 通称“ポン引き”といわれた彼女たちのヒモも登場し、女と男が、なぜ、闇の職業に就いたのか、その人生模様をつづる。
 1990年代末といえば、バブル崩壊後の失われた10年の末期にあたる。つまりこの著書は、不況が長期化していた時代に、底辺を生きた人々の証言といえよう。
 娼婦がマスコミの取材を受けるなど、一切あり得ない。そこを折衝し、素顔を引き出した、著者の粘り強さがしのばれる労作だ。
 戦前、戦後にまたがる「日本街娼史」も併せて掲載。読み応えのある1冊だ。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)

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