日本での成績は非公認?イチロー”安打世界記録”に日米で温度差 (2/2ページ)
■奥歯に挟まった「日米通算安打」
野球賭博でMLBを永久追放された男が何を言うか! という気分になるが、冷静に聞いてみれば一理はある。MLBとNPBのレベル差はもちろんだが、一体どこまでを合算できるのか、という問題が出てくる。
「そのうち(日本のメディアは)イチローの高校時代の記録も足してくるだろうよ」(ピート・ローズ氏)
とは言い過ぎにしても、
「韓国プロ野球や台湾プロ野球の記録も認めるのか?」
「プロリーグは無いがレベルの高いキューバ人選手の記録はどうするのか?」
例えばプロサッカーならば(注3)日本のJリーグでも独ブンデスリーガでもゴールはゴールとして、その選手の通算ゴール記録に加わる。全員がFIFA(国際サッカー連盟)傘下で試合をしているからだ。しかし野球にはNPBやMLBを統べる国際組織が無い。各リーグが隔絶された状態のままだ。
「さらに言えばイチローは日本で10年近いキャリアを積んでからメジャーに移籍したのに、メジャーの<新人王>を受賞してしまっている。つまり自他ともに<”NPB”と”MLB”は別もの>と認めた。日本のキャリアを無視する形で新人王を貰っておきながら、安打記録だけは日米合算というのは矛盾している」(スポーツジャーナリスト)
むろんイチローにも、下品な物言いはいただけないがピート・ローズ氏にも責任など無い。メジャー安打記録4,256は依然としてピート・ローズが保持。イチローは日本とメジャーを合わせたら、安打数4,256を超えた……それだけの話であり、ことさらに「ローズを超えた」「イチロー世界いち!」と騒ぐメディアの方がバカなのだ。
「ピート・ローズ氏のコメントは聞いてるし、この記録についてハッピーじゃないことも知っている。僕としては日米合わせた数字ということで、どうしたってケチがつくことは分かっているし、ここを目標に設定していなかった」(イチロー)
類まれな才能と真似のできない努力で、NPBでもMLBでも歴史に残る選手となったイチロー。無理やりな記録で飾らずとも、彼の偉大さは日米のファンが知っている。
(注1) ピート・ローズ…常に全力、かつ闘志あふれるプレーで世界的な人気を集めた。1960〜1970年代に輝かしい成績を残して監督となったが、1989年に野球賭博に関わったことでMLBから永久追放された。最近になって、やや復権を果たしている。ニックネームはチャーリー・ハッスル(ハッスル小僧)。
(注2) ヒットクイーン…<二番手>という意味らしい。
(注3) プロサッカー…野球ほど数字に拘らない面はある。
著者プロフィール

コンテンツプロデューサー
田中ねぃ
東京都出身。早大卒後、新潮社入社。『週刊新潮』『FOCUS』を経て、現在『コミック&プロデュース事業部』部長。本業以外にプロレス、アニメ、アイドル、特撮、TV、映画などサブカルチャーに造詣が深い。Daily News Onlineではニュースとカルチャーを絡めたコラムを連載中。愛称は田中‟ダスティ”ねぃ