ランチは0円!外資系企業が報酬よりも「待遇」を手厚くする理由
メジャーリーグ・マーリンズでプレーするイチロー選手が15日、メジャー通算2,979安打、日本のプロ野球・オリックス時代と合わせて4,257本目のヒットを放ち、ピート・ローズ氏が持つメジャーリーグ最多安打記録、4,256本を超えました。
100年以上の歴史を持つメジャーリーグでの偉業に、日本中が喜びに沸きましたね。
メジャーリーグといえば、プレーに関するニュースだけでなく多額の報酬、そして破格の待遇もしばしば話題になります。
しかし、じつはその傾向、プロスポーツ界だけでなくアメリカ資本など外資系の企業全般に見られることなのです。
元国税調査官の著者が書いた『知らないと損する給与明細』(大村大次郎著、小学館)の「外資系企業が報酬よりも待遇を手厚くする理由」の項から、その裏側を覗いてみましょう。
■メジャーリーグは選手に豪邸も用意する
メジャーリーガーの待遇には、度胆を抜くようなものが少なくありません。
昨年も、イチロー選手が昨年の再契約の際に球団側から「いたいだけいてほしい」と“終身雇用”を保証されたことや、ヤンキースで活躍する田中将大投手の妻・まいさんのために費用すべて球団持ちの“セレブ出産”が用意されたことが広く報道されました。
広大な豪邸や高額のマンションを球団が用意するとか、ファーストクラスでの帰国費用を年数往復分支給する、といった話もよく聞きます。
一方、日本のプロ野球界では、年末の契約更改で年俸額の交渉が行われるものの、こうした待遇面での要望を挙げる選手の話はほとんど聞きません。
■外資系企業にはジムがありランチは無料
では、一般企業に目を移してみましょう。著者は、「外資系企業の場合、福利厚生が行き届いていることが非常に多い」といいます。
育児関連サービスを受けられたり、契約スポーツジムを社員が自由に使えたり、家族旅行に補助金が出たりと、多種多様な福利厚生が用意されているのです。
なかでも有名なのが米Google。社内のカフェテリアでランチを無料で食べられたり、社員が参加できる格闘技などのクラスがあったり。
その点、日本ではアメリカほど福利厚生を重視しません。
就職・転職の際、報酬は気になっても「どんな福利厚生があるか」を決め手にする人はほとんどいないでしょう。いま務めている会社に、どんな福利厚生があるのかを把握していない人も少なくないのでは?
この違いについて著者は、「根底に報酬や税金に対する考え方の違いがある」と指摘します。
アメリカでは、報酬をお金で受け取ると「その分多く税金もかかる」という意識が強いといいます。お金ではなく福利厚生を充実させてもらうことは「経費」の範囲内になるので、個人が税金をかけられることはほとんどありません。
さらに、会社側も福利厚生にかかる費用は福利厚生費として“損金”(法人税を計算する時に税制上差し引ける費用)計上できるため節税になり、両者にとって得になる、というわけです。
合理的なアメリカらしい考え方といえます。
■中小企業社員でも福利厚生を充実できる
そうはいっても、個人が会社に対して待遇改善を要求することは現実的ではありません。
大企業であれば財形貯蓄制度や家賃補助、託児施設などといった福利厚生がある場合もありますが、中小企業ではあまり期待できません。
そこで著者が提案するのが、「中小企業勤労者福祉サービスセンター」で“自分で福利厚生を充実させる方法”です。
これは、厚生労働省が支援して市区町村単位で設置する福利厚生団体のこと。会費は市区町村によって違いますが、だいたい400~500円ほど。
たとえば埼玉県川越市が設置する「川越市勤労者福祉サービスセンター」では、周辺の映画館や水族館、遊園地などさまざまなレジャー施設が大幅割引になったり、人間ドック利用に最大8,000円の補助が出たり、各種教養講座の補助が受けられたり、冠婚葬祭資金の融資を受けられたりできます。
この施設は従業員300人以下の企業が対象で、企業単位でも個人でも加入可能。
「全サラリーマンの8割ほどが従業員300人以下の企業で働いているので、つまりは、サラリーマンの8割が該当する」と著者はいいます。
*
本書では、給与明細の基本的な読み方から、サラリーマンなら認められるが現実には利用している人の少ない「手取り額を増やす裏ワザ」、スポーツジムの年会費や子どもの学校への寄付金も取り返せる「控除」の賢い使い方などを、税制を知り尽くした元税務調査官が詳説。
「給与計算は会社がしてくれるもの」と思っていると、もらえるハズのお金を逃してしまう可能性があります。でも、本書で給与明細のカラクリを知って裏ワザを使えば、手取り給与の増額や将来の年金支給額アップも夢ではないかも?
(文/よりみちこ)
【参考】