糖尿病専門医に聞く。「食べる順番を変えるだけダイエット」の真の意味とは?
「食べる順番を変えるだけダイエット」という方法をよく耳にしますが、実は、「糖尿病と糖尿病予備群、メタボリックシンドロームの人たちの食事療法のひとつとして、昔から実践されてきたことです」と話すのは、糖尿病専門医で大阪府内科医会会長の福田正博医師。医学的に考えて本当に効くのかどうか、その根拠と適切な実践法について具体的に尋ねてみました。
■食物繊維が豊富な食材を最初に食べることがポイントなぜ食べる順番が重要なのかについて、福田医師は、次のように説明します。
「ごはんやパン、めん類、イモ類などの炭水化物を食べると、消化されたブドウ糖が血液中に吸収されて流れて行きます。つまり、血液中の糖分の濃度である『血糖値』が上昇するわけです。このとき、すい臓から、『インスリン』というホルモンが分泌されて、糖分を燃やしてエネルギーに変えようと働きます。
ところが、このインスリンにはもうひとつ、脂肪を蓄える働きもあるんです。ですから、血糖の上昇を防いで、インスリンの分泌量を抑えることが肥満予防になるわけです。
そのために、先に、食物繊維が豊富な食材の野菜やきのこ類、海草類を食べておくと、あとから入ってくる炭水化物や脂肪の吸収を抑制し、食後の血糖上昇を抑えることが国内外の各種の研究でわかっています」
食物繊維を最初に食べるということがポイントなのでしょうか。
「そうです。食物繊維は、便通を整え、糖分や脂質、ナトリウムなどを吸着して体の外に排出する働きがあります。野菜を先に食べましょうとよく言いますが、食物繊維が豊富であることが重要であり、野菜ではなくても、きのこやコンニャク、ワカメなどの海草類でもいいので、積極的に食べてください。
おなかが減っているときに、たとえば、ラーメンをどか食いすると炭水化物(糖質)を一気に吸収することになり、血糖値が急上昇します。その前に、野菜や海草の小鉢を食べておくと、血糖値もインスリンの量も抑えることができます」(福田医師)
■新知識! タンパク質は、魚→肉の順に食べる肥満予防にとって有効な「食べる順番」について、福田医師はこう話を続けます。
「国内の研究でも、従来の情報より一歩進んで、タンパク質をとる順番の効能について明らかになりました。
魚と肉を両方食べる場合は、『魚を先に食べてから、肉を食べるほうが食後の血糖値の上昇が抑えられる』という結果が出ています。飲み会や外食では、魚も肉も食べる機会が多いと思いますので、この順番を実践するとよいでしょう」
福田医師は、血糖上昇対策としての「食べる順番」を次のように示します。
食物繊維……野菜や海草のサラダ、野菜の煮たき物、きのこ類の和え物など ↓ タンパク質……魚料理 ↓ タンパク質……肉料理 ↓ 炭水化物……ごはん、パン、めん類など
ダイエットになるかどうかについて、福田医師は次のアドバイスを加えます。
「この方法の本質は、あくまで、『血糖値とインスリンの分泌量に着目した、長期的に見た生活習慣病対策の食事法』であるということです。結果的に、脂肪がつきにくい、肥満やメタボ、糖尿病などの予防につながりますが、この順番で食べたからといって、カロリーオーバーなほど食べ過ぎる、またお酒を飲み過ぎているとなんの効果もありません。その点、勘違いしないようにしましょう」
■まとめ食べる順番を変えると、血液中の糖分の状態やホルモンの分泌が改善されて太りにくくなるということ、また、新知識として、タンパク質は魚→肉の順に食べるというコツが分かりました。この方法の本当の目的、意味を知ったうえで、実践したいものです。
(品川緑/ユンブル)
取材協力・監修 福田正博氏。医学博士。糖尿病専門医。大阪府内科医会会長。医療法人弘正会・ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)院長。著書に、『糖尿病は自分で治す!』(集英社新書)、『専門医が教える 糖尿病食で健康ダイエット』、『糖尿病は「腹やせ」で治せ!』 (ともにアスキー新書)、『専門医が教える 糖尿病ウォーキング!』(扶桑社新書)、『専門医が教える5つの法則 「腹やせ」が糖尿病に効く!』(マガジンハウス)など多数。 http://dmclinic.jp/