食べないと地球を救える?世界に10万人いる「不食者」の影響力
ここ数年でメディアに登場するようになった、「不食」という言葉を聞いたことがありますか?
ダイエットでもない、断食でもない、ただ「食べない」という生き方を選んでいる人が、世界にはすでに10万人いるといわれているそうです。
「でも、なにかしらは食べているだろう」と思うのが一般的な見解でしょうが、5月に発売された『不食という生き方』(秋山佳胤著、幻冬舎)の著者である秋山佳胤さんは、2008年の3月から一切の飲食をしないで現在に至っているそうです。
水さえも飲まないと聞くと、にわかには信じられない気がしますよね。
この本には、それまで普通に食事をしていた秋山さんが、どのようにして不食の道を選ぶに至ったか、そして不食が秋山さんにもたらした劇的な変化について書かれています。
■不食者は「気」を摂取して生きている
生きて活動するにはエネルギーが欠かせません。では、不食者はどうやって生きるために必要なエネルギーを得ているのでしょうか。
本書によると、不食者は、「プラーナ」と呼ばれる、大気中に無限に存在するエネルギー、つまり「気」を摂取して生きているそうです。
秋山さんが不食に出会ったのは、弁護士浪人中に気功に出会って、「気」の存在を知った後のことでした。もし気功を学んでいなかったら、不食のメカニズムを理解することはなかっただろう、と秋山さんは振り返っています。
不食を知った直後に、体調を崩し、1週間食事がまともにできないという災難に見舞われた秋山さん。ところが、これが「災い転じて福と為す」となり、食べないことは可能かもしれないと思ったのだそう。
とはいえ、秋山さんといえども、すぐにまったく食べないようになったのではなく、2年かけて、減食、少食、微食、そして不食になっていったといいます。
■食べても食べなくてもOKなスタンス
不食がダイエットや断食とまったく違うところは、我慢して食べないわけではないという点です。
秋山さんは、「我慢をしない、食べたいときには食べる、期限を決めない」といった独自のルールのもと、だんだんと空腹に慣れていったそうです。
プラーナは、リラックスして緊張しなくなると、摂取量が上がります。反対に、食べることに罪悪感を抱いたり、自分を裁いたりしてしまうと、緊張感が生まれ、プラーナを摂取する力は弱まります。
そう考えると、競争社会のなかでストレスまみれの現代人が、暴飲暴食に走るのも無理はない気がしますね。
秋山さんは「過食はストレスをまぎわらすための代償行為」と言っています。
■不食は寿命が伸びるなどのメリットが
不食を実践することで、次のようなメリットがあるそうです。
(1)免疫力がアップする
(2)若返る
(3)寿命が伸びる
食事は異物を人体に同化する作業。その作業には膨大なエネルギーが必要なため、食べれば食べるほど、体内の他のエネルギーはそちらに持って行かれます。
逆に食べないと、エネルギーがセーブされ、それが免疫力を上げたり、寿命が伸びたりすることに使われるというのです。
すぐに食べないことのメリットを実感することは難しいかもしれません。けれど、食べすぎると、頭が働かなかったり、体が重くなったりすることは、誰にも経験のあることですよね。
まずは食事の量を減らすことで、自分の体にどんな変化があるか、みていくのはいかがでしょうか。
■不食は健康なだけでなく地球も救う!
食べる量を減らす、あるいは食べなくなると、自然界のあらゆる存在と自分の結びつきがみえるようになった、と秋山さん。蚊を殺しても、自分に痛みが走るようになったとか。
また、秋山さんの職業のひとつは弁護士ですが、弁護士には裁判がつきもので、裁判には勝負が欠かせません。
秋山さんは、訴訟相手にも「あなたのおかげで私がいます、ありがとう」と愛を送っているそう。そうすることで、面倒だと噂のあった訴訟相手が真摯な態度になったり、味方になったりしてくれるようになったというのですから驚きです。
一見、弁護士のあり方の逆をいくような秋山さんですが、最近は、弁護士会から講演を依頼されることもあるそうです。不食者が増えれば、裁判のあり方さえ変わっていくかもしれません。
不食の可能性は、ほかにもまだまだあります。
世界の中でも日本は、年間の食品廃棄物が多いといわれています。事業系で1916万トン、家庭系で885万トンとも(2012年度・農林水産省による推計)。
本書を読むうちに、不食は、人口問題や食糧難を含む環境の問題を一気に解決へと導く鍵になる気がしてきました。
*
筆者もそうですが、普段、特になにも考えず、食事の時間になったから食べている人も多いのではないでしょうか。
最後は、秋山さんの言葉で締めくくりたいと思います。
「本当にお腹が空いた時にだけ適量を食べ、少しずつ食べる量を減らしてください。食べる量を減らすだけで、私たちは地球に貢献できます。自然界をご覧ください。過食の動物はいません」
(文/石渡紀美)
【参考】