北朝鮮で「軍」が「イジメ」の対象になっている! (2/2ページ)

デイリーNKジャパン

現人民武力省の朴永植氏も、総政治局出身の「政治軍人」である。彼らの権力基盤は、あくまで正恩氏との「近さ」にあり、軍事組織の利害は二の次だろう。朝鮮人民軍の内部は、末端兵士らが栄養失調にあえぐなど惨憺たる状態にある。そうした現実の中で「政治軍人」と「野戦軍人」の間で政治闘争が起き、前者によって後者が葬られているのではないか――そんな推測も可能なのだ。

ちなみに、黄炳瑞氏の前任として総政治局長の地位にあった崔龍海(チェ・リョンヘ)書記もまた、正恩氏側近の「政治軍人」だが、「変態性欲者」であるとの情報もあり、その評判は軍の内外を問わずきわめて悪い。

「同窓会」に血の弾圧

日本のマスコミは長らく、「北朝鮮の軍部強硬派の暴走」に言及する傾向がうかがえたが、そんなものは根拠のない作り話に過ぎない。北朝鮮の体制下においては、たとえ軍幹部といえども、私的な人脈作りを行えば厳しく監視される。実際、1990年代にはある「同窓会」が血の粛清を受けており、それ以来、軍人たちへの統制はさらに強まった。

つまり、「強硬」か「穏健」か以前に「派」を作ることができず、最高指導者の意に反して「暴走」することなどできないのだ。マスコミが「軍部の暴走」と言いたがるのは、さしずめ旧日本軍の「2.26事件」のイメージを引きうつしているだけだろう。

もっとも、誤解のないように言っておくならば、たとえ人民武力部が「省」に改称されていたとしても、それは金正恩氏が軍事力への依存を弱めたことを意味するわけではない。正恩氏は今後もますます核戦力の整備に注力するだろう。人民武力部の処遇変化は、統治行政上の都合によるものと見るべきだ。

しかし、軍の威信低下は、生粋の軍人たちの「やる気」の減退にもつながりかねないわけで、軍事国家・北朝鮮の今後に、様々な影響を及ぼし得ることも事実だ。

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