戒名授与が定着したのはいつから?定着に一役買ったある偽文書とは? (2/2ページ)
■「戒名は授かるもの」と書かれた偽文書の影響
そんな中、元禄時代頃の仏教界で、とある「秘密兵器」が作られた。江戸幕府の祖徳川家康の名を借りた偽文書で、名を『神君様御掟目十六箇条宗門檀那請合掟』という。この文書は書写され、津々浦々の寺に普及して庶民への説法に使われた。更には、寺子屋で児童の手習いの教科書にもされたほどである。
この偽文書の内容は、自分の菩提寺との関係を密にすることが必要だと説くものであり、その中に「葬儀では、戒名を授けられる決まりがある」というくだりがある。
つまり庶民の戒名は、「徳川様がそう決めたのだから、有り難く授かりなさい」という虚構の歴史を権威として傘に着ることで、江戸中期以降に普及していったもののようである。