世界最小のハードディスクは原子配列でデータを記憶する (2/2ページ)

FUTURUS


■ スライディングパズルの原理

研究チームは、この技術の実現にあたって、走査トンネル顕微鏡(STM)という装置を使った。これは非常に鋭利な針を使って表面上の原子をひとつひとつ検査するものだが、ただ原子を見るだけでなく、原子を“押す”ことも可能だという。「スライディング・パズルのようにね」とOtte氏はいう。

[youtube https://www.youtube.com/watch?v=ZcU-sZJkh_U]

「ひとつひとつのビットは銅原子の平面上にある2つの枠と、そのどちらの枠にも動かすことができるひとつの塩素原子で構成されます。塩素原子が上の枠にある場合、下の枠は穴があいた状態になる。これをわれわれは“1”としています。逆に、上の枠が穴のあいた状態で、塩素原子が下の枠にある場合は“0”です。

塩素原子は、穴の近くにある場合をのぞいてはほかの塩素原子に囲まれた形になっているため、その場所にとどまります。それが、この“穴”を用いる方法が、自由な原子を用いるほかの方法よりも安定していて、記憶装置として望ましい理由です」

研究チームは、この記憶媒体を、8バイト(64ビット)で1ブロックとした。それぞれのブロックは穴を使った標識を持っている。その標識がミニチュアのQRコードのようにそのブロックの位置を示す。また、もしブロックがダメージを受けたら、そのことも示すことができるようになっている。

この手法は、安定性や拡張性の面でも有望だという。もっとも、まだすぐにデータセンターに採用できる手法ではない。Otte氏はこう語る。

「現時点では非常にクリーンな真空のコンディションで、しかも液体窒素の温度でないと使えません。したがって、原子を使ったデータの記憶はまだ実用からは遠いものです。しかし、この研究によって、大きな一歩を踏み出すことはできたと思っています」

われわれが過去を知ることができるのは、書物などによって歴史が書き残されてきたからだ。情報の保存は現代そして未来にとっても重要なテーマだといえる。信頼性、耐久性が高く、そして容量の大きい記憶装置の開発は、今後も進んでいくだろう。

【参考・画像】

※ TU Delft

【動画】

※ Atomic scale data storage -YouTube

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