【プロ野球】ヤクルト・山田哲人に覚醒をもたらした”2つのPL学園戦” (2/2ページ)

■40度の高熱に負けず放った、PL戦・意地の同点打
PL学園戦でのエラーをキッカケに自らを見つめ直し、急成長を遂げた山田。迎えた最後の夏、甲子園を目指した大阪大会4回戦で対戦したのがPL学園だった。
試合は8回を終えて5対7と、履正社が2点を追う展開。9回表、最後の攻撃は1アウト二、三塁。一打同点の場面で、打席には山田。ここで山田は見事に同点タイムリーヒットを放ち、延長戦で履正社が逆転勝利を果たした。実はこの試合、山田は40度近い高熱に耐えながらプレー。チームの主軸として、甲子園、そしてその先のプロに進むため、意地で放った一発だった。
PL学園戦での勝利によって勢いに乗った履正社は、激戦区・大阪大会を勝ち上がり、13年ぶりとなる悲願の甲子園出場権を獲得。大阪大会での山田は打率4割を超え、13打点を記録した。
その活躍がフロックではないことを証明したのが甲子園でのプレーだ。山田は1回戦でホームスチールを成功させて野球センスの高さを見せつけると、2回戦では聖光学院の歳内宏明(現・阪神)から、同点に追いつく2ランホームラン。勝負強さとパンチ力も披露した。試合には敗れてしまったものの、この甲子園での活躍によって、秋のドラフトで1位指名を果たしたのだ。
■群雄割拠の高校野球
以降の活躍ぶりはあらためて記すまでもないだろう。強調しておきたいのは、PL学園戦でのエラー、そして起死回生の同点打。このふたつのプレーが今の山田哲人を形成する上で欠かせない要素だった、ということだ。
そしてあらためて思う。これからの高校球界で、「打倒PL」と誰もが目標にするようなチームはどこになるのだろうか? と。例年であれば、平成最強横綱・大阪桐蔭や昨夏の覇者・東海大相模、昨春のセンバツ覇者・敦賀気比などがその第一候補。だが、今年の夏はそろって敗れ、甲子園には姿を見せない。
まさに群雄割拠。新たな時代を迎えようという高校野球と甲子園大会。球児たちの一投一打から目が離せない日々が、間もなく始まる。
文=オグマナオト