伝説の横綱・千代の富士との名勝負によって生まれたもう一人の「ウルフ」 (2/2ページ)

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上手投げを打ちにかかりつつ、それが決まらないと踏むや、瞬時に右から益荒雄を掬いつつ、攻勢へと転じようとかかるが、双方が仕掛け続ける中で益荒雄は、背中からぶつかる形で千代の富士を押し飛ばし、土をつけることとなった。

このあまりに鮮やかな展開に、観衆からは大きな歓声と座布団の嵐が舞った。当の千代の富士からも、珍しく笑みがこぼれるという、まさに見事な取り組みであった。千代の富士からすれば、まさに敵ながら天晴れといったところであったのではないだろうか。

結局、この場所を9勝6敗の好成績で終えた益荒雄は、初の殊勲賞を獲得。その名勝負から「益荒雄旋風」を巻き起こしたことでファンが急増し、一般公募によって選ばれた「白いウルフ」の名を拝するようになった。益荒雄は度重なる怪我の影響もあって、現役生活の中で千代の富士と対決したのはこの取り組みを含めてたった7番のみ(千代の富士の5勝2敗)であったが、この対決は今でも多くの相撲ファンによって語り継がれている。

「ウルフ」の胸を借りる形で挑み、「白いウルフ」の名を手に入れた益荒雄。彼もまた、大横綱・千代の富士との対決によって、その評価をあげることとなった名力士の一人と言えるだろう。

文・出門鶴花

■阿武松部屋-白いウルフ-
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