仕事で最も必要な数字が「頭に入らない!」を克服する唯一の方法
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数字
こんにちは。深沢真太郎です。
ビジネスパーソンを数字と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。
研修やセミナーなどでお会いする方の悩みのひとつに、「仕事で必要な数字が頭に入らない」というものがあります。
なるほど。たしかにビジネスにおいて、数字は切っても切り離せないもの。知識として持っておかないといけない数字もあるでしょう。
しかし、そうはいっても人間です。必要な数字がすべて完璧に頭に入っているなんてことはあり得ません。そこで、私からの解決策のご提案です。
数字は「覚える」のではなく、「つくる」のです。
誰しも、興味のないものやイメージしにくいものを覚えるのは難しいものです。つまり、「覚えなきゃいけない」という発想自体を変えるということです。
■売上はサッと出てこないとダメな数字
たとえば靴でおなじみ「ABCマート」をテーマにしてみましょう。
唐突ですが、ABCマートの年間売上高をご存知でしょうか? 靴業界に興味がある方ならすぐに答えられるかもしれませんが、おそらくご存知ないでしょう。
ところが、もしもあなたがなんらかの形で靴という商品に携わるビジネスパーソンだったとしたら、これはサッと口から出てこないといけない数字だということになります。
もし認識していないのであれば、その数字をウェブで調べてつかむこともひとつの方法です。
でも、そこで数字を知ることは、単なる暗記と同じです。時間が経つと忘れてしまう可能性があるのです。
そうではなく、自分の頭でざっくりつくれるようにしておきませんか? たとえばこのように。
■ABCマートの年間売上高はいくら?
まず、国内の靴の市場規模はどのくらいだろうかと考えましょう。
人口1.3億人のほとんどが靴を使っていますから、ざっくり平均で単価1万円として考えれば、1.3(億人)×1(万円)=1.3(兆円)となります。
そのうち、ABCマートのシェアはどのくらいでしょう?
国内には老舗の靴屋もありますし、大小すべて含めて考えれば、だいたい10%程度のシェアでしょうか?
1.3(兆円)×0.1=1,300(億円)
でも、たしかABCマートは海外展開もしていたはず。それも考慮すると、ざっくり2,000(億円)程度でしょうか。結論として、およそ2,000(億円)程度と推測できるわけです。
■必要な数字は覚えないで「つくろう」
実際、ABCマートの公開情報によれば、2016年2月期の数字は2,381億円を超える規模とのこと。
中学生でも理解できそうな短時間の概算での割には、筋のいい推論だったようです。このように、ビジネスで必要な数字は「覚える」のではなく、「つくる」ようにしましょう。
一方で、「考えるのが面倒くさいから覚えた方がラク」というご意見もあるでしょう(苦笑)。
では、あなたの会社が属する市場の規模、顧客人口、平均単価、売上高、営業利益率、経常利益率、人件費、在庫回転率、これらの数字をすべて「覚える」ことができるでしょうか?
いいえ、おそらく無理でしょう。
しかも、これらの数字のなかにはおそらくGoogleで検索してもわからないものもあるはず。Googleに頼るのは、やはり間違っているのです。
だからこそ、「覚える」のではなく、自分で「つくる」ことでその数字をつかめるようになっておくことが大切なのです。使うべきはGoogleではなく、自分のアタマであることをお忘れなく。
(文/深沢真太郎)
【参考】
※ビジネス数学の専門家 深沢真太郎 〜数字が苦手な人の救世主〜-YouTube
※深沢真太郎(2015)『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』日本実業出版社