友成那智 メジャーリーグ侍「007」 決断のときを迎えたレッドソックス「上原浩治」 (2/2ページ)

週刊実話


 古巣巨人はセットアッパーコンビ(マシソン、山口鉄也)の一角、山口が用をなさなくなっているので、左打者に強いセットアッパーの補強が急務になっている。フォークボールを武器にする上原は右打者より左打者に強く、そのニーズにフィットしている。
 古巣復帰となれば黒田博樹のカープ復帰のような熱狂が巻き起こると思われるので、営業面でのプラスも大きい。上原自身も、巨人のユニホームを着て野球人生を終わらせたいという気持ちがあると思うので、とんとん拍子に話が進む可能性がある。

 三つ目は今季限りで引退というシナリオだ。
 上原は5月以降、一発を立て続けに食うようになり、思いつめた表情で首をかしげるシーンが多くなった。今回DL入りする原因となった胸筋の炎症も長引く可能性があるので、シーズン終了後、レ軍のユニホームで引退の記者会見に臨む可能性は大いにある。

 田澤純一はこれまで、5月までは安定した投球を見せるのに、6、7月に失点が多くなるというパターンを繰り返してきた。今季も序盤は好調だったが、6月に入って失投が増え防御率が右肩上がりに上昇。7月初旬には3点代後半まで悪化した。その挙げ句、7月5日に「肩関節の痛み」を理由にDL入りしてしまった。
 しかし、このDL入りは、球団首脳が田澤にプレゼントした夏休みだった。
 田澤の肩関節の痛みは慢性的なもので、投げようと思えば投げられた。それなのに、球団首脳があえて休ませることにしたのは、このまま使い続けると昨季と同様、立ち直れないままどんどん悪くなり、メルトダウンする可能性があると判断したからだ。
 この15日間のDL入りは格好の肩休め、肘休めになったようで、7月22日に復帰後は制球が安定。フォーシームのキレも甦り、セットアッパーとしてフルに機能するようになった。

 来季以降を考えると、これは大きな意味を持つ。
 田澤は今シーズン中にFA権を取得するので、今季いい働きをすればオフにFAとなり3年契約をゲットできる。だが、働きが悪ければ商品価値を上げることができず、1年契約に甘んじないといけない。
 6月から7月初旬にかけて田澤は失点が多くなった上、DL入りも経験したので、商品価値がかなり下がっていた。しかし、復帰後、セットアッパーとしてフルに機能しているため、商品価値が再上昇。現状の防御率(7月28日現在、3.31)を維持できれば、複数年契約をゲットできる可能性が高くなった。もし、防御率を2点台中ごろまで戻すことができれば、3年契約も可能になるだろう。
 それもこれも、8月と9月の働き次第なので、田澤は投手人生で最大の踏ん張りどころを迎えたといっても過言ではない。

ともなり・なち 今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は大リーグ関連の記事を各媒体に寄稿。日本人大リーガーにも愛読者が多い「メジャーリーグ選手名鑑2016」(廣済堂出版)が発売中。
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