「同僚の娘を貯水タンクに沈めて殺害」…北朝鮮で多発する凶悪事件の動機と背景 (2/2ページ)

デイリーNKジャパン

そして、22歳の女性が、高金利で暴利を貪り、強引な取り立てをする業者を殺害するという事件が起きた。

覚せい剤めぐり毒殺も

凶悪事件が多発する背景としては、90年代に起きた大飢饉「苦難の行軍」の後遺症から来る慢性的な経済難や社会全体に拡がる閉塞感が挙げられる。

そのためか、麻薬、覚せい剤に手を染める住民も多く、昨年2月には、麻薬ビジネスのトラブルをめぐり、警察官の妻が男性2人を殺害する事件も起きた。

金正恩氏は、薬物汚染に関しては厳しく取り締まる方針を打ち出している。しかし、覚せい剤が蔓延するきっかけは北朝鮮自身によるものだ。外貨稼ぎのために製造された覚せい剤が、周辺国の警備が強化されたため、行き場をなくし、結果的に国内に蔓延してしまった。薬物汚染は自業自得ともいえる。

いずれの事件も、北朝鮮の尺度からすれば、堕落した資本主義社会で起こりうることであり、健全な社会主義国家を謳う北朝鮮では「起こってはならない」事件の類いだ。だからこそ凶悪事件はアナウンスされずに隠蔽される。

しかし、古今東西、おぞましい凶悪事件は、えてしてその社会の世相、そして変化を反映する。北朝鮮とて例外ではない。多発する凶悪事件は、北朝鮮社会の矛盾の縮図なのかもしれない。

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