少子化止まらぬ北朝鮮、兵役延長で労働力確保 (2/2ページ)
また、苦難の行軍前後に生まれ育った世代は、満足な食事ができなかったため、体格が小さかったり、病弱だったりする。ところが、最近ではこのような若者でも徴兵されるようになっている。
しかし、待遇の改善は全くなされていない。
兵士の食糧は協同農場から供給されるが、凶作、交通インフラの未整備、横流しなどで、規定の量が守られず、栄養失調に陥る兵士が後を絶たない。
食糧確保のために山菜採りにでかける、といった例はまだましな方で、基地周辺の民家や農場を襲う「盗賊」と化すケースも少なくない。今回の措置は、それらの犯罪行為をさらに助長する恐れもある。
そもそも、なぜこれほど兵役が長いのだろうか。
それは、命令ひとつでいくらでもタダ働きさせられる労働力を確保するという目的がある。北朝鮮軍の兵士の多くは、戦闘訓練よりも、建設現場や協同農場での労働に従事している。機械化が極端に遅れている北朝鮮では、「人海戦術」への依存度が高い。ところが、それだけの労働力に賃金を支払うだけの財源はない。
公式には税金を徴収する仕組みがないからだ。だから、タダ働きさせられる労働力が必要なのだ。
経済活動に従事すべき人口を軍隊に振り向けることにより、経済発展にも多大なる影響が出る。
だからといって、兵役期間を他の国と同等のレベルまでただちに短縮することもできない。兵役には、余剰労働力の吸収、活用という側面がある。兵役を急に短縮して、一度に大量の人員を社会に戻すと、数十万人単位の余剰労働力が発生することになり、職にあぶれた人々が犯罪に走る可能性もある。「北朝鮮というシステム」は、行き詰ったまま走り続けているのだ。
北朝鮮当局にできることは、核実験や、プロパガンダ用の建築ではなく、今後の経済発展の基盤となるインフラ整備に注力し、経済のパイを増やしていくことだ。それは、余剰労働力の吸収、さらなる経済発展へと繋がるだろう。