労働環境改善急務 介護の現場悲痛な叫び (2/2ページ)

週刊実話

実際、先の事件の植松聖容疑者が雇用されたときは、すでに全身入れ墨で、薬物にも手を出していた。介護現場の人間はこうも言う。
 「就職当時は真面目でも、あまりの現場の人手不足と給料の安さと仕事の過酷さに精神的バランスを崩し、事件を引き起こす場合もある。つまり大事件には至らなくても、介護士がストレス解消に高齢者や身障者を殴ったりツネったり怒鳴ったりと、パワハラやイジメは見えないところでしょっちゅう起きています。例えば、男性介護士が殺人的忙しさのストレス発散で、高齢女性入居者の性器にわざと触れたりというわいせつ行為もあるとか。そうしたことが、やがてエスカレートすると大事件になる。今年2月、3人を転落死させたとして逮捕された川崎市の高齢者施設で働いていた今井隼人被告の事件も、ストレスと金欠が重なった末の犯行です」

 今井被告は一昨年、施設に入居していた80代と90代の男女3人を次々とベランダから転落させ殺害。さらに、20回近く高齢者の財布から現金窃盗を繰り返し、高級飲食店通いやプロ野球観戦などに浪費していた。殺人は窃盗容疑の取り調べのプロセスで発覚した。別の介護関係者が言う。
 「今井の施設では、夜勤は2人で50人近い高齢者を介護し、15分ごとに何をやるか介護士1人1人にノルマが課せられていた。それに縛られ、多くの介護士がノイローゼ寸前だったとも聞きます。とはいえ、施設側もそれをしないと、人手不足の中、入居者を世話できなくなるというジレンマがあるのです」

 安倍政権が掲げた「1億総活躍社会」の目玉の一つである介護職員の処遇改善について、厚生労働省は'17年度に介護報酬を改定する方針を固めた。3年に一度行われる定例の改定では'18年度の予定だったが、処遇改善に限って改定時期を1年前倒しするという。
 しかし、それらも「弥縫策(一時的取り繕い)に終わる」と懸念するのは、社会保障に精通する関係者だ。
 「国が報酬アップの補助金を出しても、受け取るのは施設。経営が厳しいところは、理由を付けて赤字補填に回してしまうかもしれません」

 数万円の報酬アップをしたところで“介護地獄”の解消につながるわけではない。少子高齢化のピークは団塊世代が75歳になる2025年。そのとき不足する介護士の数は、およそ250万人と言われている。

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