北朝鮮で「半グレ抗争」勃発…レンガやショベルで無慈悲に滅多打ち (2/2ページ)

デイリーNKジャパン

端川駅周辺の地域が縄張りの「海運洞(ヘウンドン)組」と、汝海津(ヨヘジン)駅周辺の地域が縄張りの「検徳(コムドク)組」の間で利権をめぐるいざこざが起きた。

海運洞組は、縄張りにある港で水揚げされる海産物の卸売を取り仕切っていた。そこへ8月4日、検徳組が乗り込んできて、力づくで利権を奪おうとしたが、海運洞組の返り討ちにされた。そして、検徳組は報復に出る。

検徳組は、人手を多く集めた上で、2日後の明け方、海運洞組が根城としている港口洞(ハングドン)の旅館を奇襲した。寝込みを襲われた海運洞組の組員たちは、逃げる隙もなく、レンガ、棍棒、シャベルで無慈悲に滅多打ちにされ、その結果、組員2人が死亡、10数人が重傷を負った。

抗争が悪化した1つの要因は、保安署(警察署)の対応が後手に回ったことにある。最初の時点で、介入していたものの、首謀者を逮捕するなどの対策を取らなかったため、大事件へと発展してしまった。その教訓からか、全国で傷痍軍人の犯罪行為に対する取り締まりは厳しくなり、清津(チョンジン)市浦港(ポハン)区域で、傷痍軍人の犯罪組織の組員7人が逮捕された。

一方、息子を軍隊に送った親からは次のような不満の声も出ている。

「お国のために軍隊に行って障がいを負った。しかし、国家が何の補償もしないなら、犯罪に手を染めるしかないだろう」

「人民第一主義」を掲げながらも、まったく内実が伴っていない金正恩体制下で、起こるべくして起こった事件といえる。

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