【プロ野球】「下克上」はロッテだけのものじゃない! 獅子軍団・西武が巻き起こすメークドラマ
8月になって今季初めての月間勝ち越しを決めた西武。ようやく……ではあるが、チームが上げ潮ムードにあることは間違いない。
そんななか、「3位までならあるのではないか」などという声も聞こえてきた。
残り20試合強でゲーム差が約8。容易なはずがないが、過去には逆転でCSを勝ち取ってきた歴史もある。
そこで今回は、西武が起こしてきた下克上をプレイバック!
※野球の見方が変わるスマホマガジン『野球太郎Pocket』と『週刊野球太郎』でニュースやコラムが読み放題!
■勝負は待ったなしの最終戦へ
まずは2011年。
3、4月から8月まで、月間の勝ち越しが1度しかなく、順位もほぼ最下位という今季並みに苦しいシーズンだった。
しかし9月に引き分けをはさむ10連勝と爆発。月間で19勝5敗という驚異的な成績で上位を猛追する。
そして迎えた10月18日の最終戦。試合前の順位は3位がオリックス、4位が西武。オリックスが負けて西武が勝てば逆転という状況で、奇跡は起きた。
西武が勝率わずか0.5毛差で逆転。オリックスとの直接対決ではなかったが、1994年に行われた巨人対中日の“10.8決戦”を彷彿とさせる西武版“10.18決戦”となった。
■レジェンドに後押しされて怒涛の進撃
続いては2012年。
当時のエース・涌井秀章の絶不調もあって、開幕から5月にかけて最下位をさまよい最大で9の借金を背負った西武。
しかし、涌井を抑えに回すという「ウルトラC」が功を奏して、6月から攻勢に転じ、8月には首位に立つ勢いを見せた。
最後は日本ハムに屈して2位でフィニッシュ。シーズンで力を使い果たしたせいか、肝心のCSではファーストステージで敗退してしまったが、パ・リーグを盛り上げたのは間違いない。
ちなみに2012年は、西鉄のレジェンド・稲尾和久の背番号「24」が永久欠番に認定された年だった。偉大なるOBが力を貸してくれた、そんな気もする。
■終盤の大まくりで地元開催権までゲット
2013年はそれまでの2年と異なり、開幕からスタートダッシュを決めた。
しかしそのまま勝ち続けることができず、交流戦ではパ・リーグの最下位に。9つあった貯金をすべて吐き出し4位まで後退してしまった。
しかし前年と違い、この年は土俵際の勝率5割で踏みとどまることができたのが大きく、再び上位と差を詰めていく。
圧巻だったのがラスト8戦で見せた破竹の8連勝。その連勝の最中、140試合目で3位に浮上すると、最終戦に直接対決で2位のロッテを破って順位をひっくり返して地元でのCS開催まで手に入れた。
■今こそ求められる「一戦必勝」
こうして振り返ってみると、昨年の13連敗のようなポカもやらかすものの、一度ベクトルが上に向くと突き抜けるのが近年の西武の特徴と思える。
とはいえノーヒットノーランなどの大記録もそうだが、奇跡は無欲だから起こるという側面もある。逆転のカギは、西武ナインがどこまで無心で残り試合を駆け抜けられるかになるだろう。
「福岡のホテルを予約しなきゃ」
「札幌の行きの飛行機、まだ空席あるかな」
捕らぬ狸の皮算用。欲をかくのはファンの仕事……、ということにしておいてほしい。
文=森田真悟(もりた・しんご)