ロンドン−米ニューヨーク間を11分で結ぶマッハ24の旅客機は実現可能か? (2/2ページ)

FUTURUS


■ ヒトラーの隠し駒

第二次世界大戦当時、ドイツ軍は『メッサーシュミットMe163』という戦闘機を実用化させていた。

これはヴァルター式ロケットエンジンを搭載したもので、軍用機がまだレシプロエンジン機主体だった頃に時速960kmという性能を叩き出した妖怪である。当時ヨーロッパに展開していたアメリカ軍のB17爆撃機の最高速度は、430km程度である。Me163のパイロットから見れば、B17など空中で停止しているも同然だった。

テスト飛行の結果に狂喜乱舞したヒトラーは、Me163の大量生産を命じた。旗色が悪くなり始めたこの男にとって、Me163は戦局を大逆転する「救世主」に見えたのだ。

だが、このMe163は問題が非常に多かった。まずロケットエンジンの稼働時間は最大8分程度で、そこから先は滑空飛行である。こうなると遊覧用のグライダーと大して変わらず、敵戦闘機の餌食になってしまった。

また、Me163に使用される混合化学燃料は危険な代物だった。「触ると身体が溶ける」と言われていたほどだが、実際にこの燃料の取り扱い中に悲惨な事故が相次いだ。だから燃料の製造には、ユダヤ人が多数動員された。

結局、この兵器はヒトラーの期待通りの戦果を挙げることはなかった。アメリカ軍も「Me163は航続性能に問題がある」と分かると、その配備拠点を迂回した爆撃コースを設定した。

こうして人類初のロケット戦闘機は、闇の中に消えた。


■ 戦闘機から旅客機へ

ところが、機械にも「DNA」というものがあるらしい。

コンコルドよりも速い旅客機を開発しようと思い立った人物が、試行錯誤を重ねる中で結局Me163と瓜二つの機体をデザインしてしまったのは歴史の皮肉である。

こうしたことは、これからも発生するだろう。それは結局、「人間の考えること」は今も昔もさして大差ないという証明でもある。だが、Me163が兵器なのに対しアンティポードは旅客機である。

「軍事技術の平和転用」という言葉の意味合いを、我々はもう一度考えてみる必要がある。

【参考】

※ NY−ロンドン間を11分 夢の超音速旅客機誕生か−CNN

【動画】

※ Messerschmitt Me 163 Komet-YouTube

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