錦織の疲れた体を襲った湿度……“スタミナ男”ワウリンカに逆転負けで2年ぶり決勝進出は叶わず [全米オープン] (2/2ページ)
第3セットで降雨のために屋根が閉められたことが、ターニングポイントになるかとも思われた。先にブレークを許していた錦織が第7ゲームでブレークバックした直後のことだ。屋根が閉まれば冷房が入る。しかし、やはり疲労という簡単に拭えない要素があったがために、屋根云々で解決はしなかったようだ。
第2セット同様に最後にブレークされてセットを失い、第4セットもいったん追いついては突き放された。
試合後、自身の口からも何度か「疲れ」を口にした。
「(マレー戦が)5セットになっていなければ、もうちょっと元気だったかとも思いますけど…」
無理もない。しかしそう思えば思うほど、ワウリンカのタフさに感心させられる。4強のうちここまでの5試合で戦った試合時間がもっとも長い14時間47分だったが、試合が進むにつれてそのショットはパワフルに、かつ正確さを増していった。
第1セットはまったく思うようなプレーができていなかったというワウリンカは、試合後、「これではいけない、もっと彼を走らせて疲れさせようと思った。今日の蒸し暑さに苦しんでいるように見えたから。それがうまくいったと思う」と明かした。
2年前の準々決勝で5セットの末、敗れた相手から会心の勝利を得た31歳は、全米オープン初の決勝の舞台へ。そして、2年前のファイナリストである錦織の夏は終わった。トロント準優勝、リオ五輪銅メダル、シンシナティは3回戦止まりだったが、今大会がベスト4。「ここまで戦えたのは、フィジカルが強くなっているということ」と話した。失意の中にも自分を認める材料、励ます材料があれば、また走り出す力になるのだろう。
そしてその極度の疲労は、この夏、ファンに与えた楽しみと興奮に比例する。
(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)