【ゴローパパの泣き笑い育児】#03 猛烈な嫉妬に狂う「男おばさん」

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【ゴローパパの泣き笑い育児】#03 猛烈な嫉妬に狂う「男おばさん」

自身の不妊治療奮闘記を綴った『俺たち妊活部』の著者で、妻の壮絶な産後ウツを経験した村橋ゴローが、わが子(愛称グラ太)の育児に日々奮闘し、パパとなっていく育児連載シリーズ『ゴローパパの泣き笑い育児』をお届けします。

前回はグラ太を見事に泣きませることに成功したわが家の救世主、おくるみ“新巻鮭スタイル”についてをお届けしましたが、第3回は“男おばさんの嫉妬”についてです!

◆◇ゴロー一家のプロフィール◇◆

■嫉妬の炎がメラメラ

あれは生後7ヶ月、グラ太がハイハイをし始めたころだろうか。それから1歳を過ぎるころまでの約8ヶ月ほど、僕はある重い病にかかっていた。それは嫉妬という病気だ。

よくパパ目線での育児でいわれるのが、「子どもができて、奥さんを取られた」という、子どもへの嫉妬がある。「俺の愛する妻を横取りしやがって~」というやつだ。

しかし僕の場合は、まったく逆だった。「愛するグラ太を奥さんに取られてしまう」という嫉妬。例えば奥さんが留守の間、グラ太と遊んでいたとしよう。すると奥さんが帰ってきた瞬間、グラタは玄関にタッタッタッと向かい「ママ~~」。その瞬間である。

「俺のグラ太を奪りやがって! この泥棒ネコ!!」

冗談でも何でもなくて、マジでこう思う瞬間がずっと続いたのだ。グラ太が生まれるずっと前から、りえちゃんにはこう言われ続けてきたのを思い出す。

「あなたはホント、極端。愛情も過多すぎるんだから」

それがグラ太にも出たのだろう。

それはそうなのだろうが、その原因を探るとまだ本当の親になりきれてない一面が関係していたとも思う。

■僕は「男おばさん」になっていた

愛情の深さは、接する時間の長さに比例する。

生後7ヶ月を過ぎると、グラ太は保育園に通うようになった。

自宅就労者ゆえ、朝の送りと夕方のお迎えは僕の担当。朝の送りで天気が気持ちよかったりすると「このままグラ太と公園にでも行って一日中遊んでいたい!」という欲求をグッとこらえ、保育園へ。

自宅へ戻ると午前中に家の掃除洗濯を終わらせ、午後から原稿。グラ太と早く会いたい一心で原稿を終わらせ、夕方お迎えへ。帰路、公園でちょっと遊んで一緒にスーパーへ行き、夕飯の買い出しに。

ここまで読むと「楽しそうだな、オイ」と思う方もいるだろうが、育児経験者ならご理解いただけるだろう。育児なんて楽しいのは一瞬だ。

特に当時は、1歳になりたてのとき。砂場で遊ばせていたって「あのお友達のアンパンマンお砂場セットが欲しい」とだだをこねはじめるし、スーパーで買い物するのなんて戦争そのものだ。

なだめすかし、笑顔を一瞬見せてくれたと思ったら、また何かに怒り泣いている。もうへとへと。

やっとこさ電動チャリのチャイルドシートに乗せ、帰宅。

マンション階下の駐輪場に着くとぐずり「抱っこ」とせがむ。仕方がないので肩に保育園のバッグをかけ、両手にスーパーの袋を持ったまま、抱っこ。筋肉はプルプル。やっと6階に着き、ドアを開けるとグラ太は「ママーー!」と一目散。りえちゃんも呑気に両手を広げ、「グラ太―!」と笑顔で出迎えた。

「いいとこ取りかよ!!」

この感情が起きるということは、もうパパではない、俺はママなのだ。外見もどんどん太り、名実ともに“男おばさん”だ。

いや、グラ太もりえちゃんも悪いところは何ひとつない。ただ、ただムカつくんだ。ここまで必死にお世話し、家に着いた途端これでは、俺の立場は、俺の今までの我慢は……。

それにこんな感情を抱えながら、これからグラ太をお風呂に入れ、みんなのご飯を作らなければならない。イラつきながら、そんなことできるか! 笑顔で接してなんかいられるか!

「……そんなにママがいいなら、もうずっとママんとこにいろよ!」

扉をバターン!! と自室に籠城。の瞬間、はぁぁぁぁぁと後悔の念。

事情の一切を知らないりえちゃんは、ただ突然キレられただけだ。消えてなくなりたい……息を殺すように存在を消し、ただただ感情の波がやむのを待った。

■愛した分だけ愛されたい

愛した分だけ愛されたい。これはどこかグラ太との恋愛感情にも似ているのだが、愛した分だけの愛を求めるのは、ただの恋愛ごっこに過ぎない。親子の愛とは無償の愛のはずである。

そして、どこかに「俺はこんなに育児をやっているんだ」という驕りがあったのかもしれない。

それからというもの、すべてが「そういうもの」と許そうと努力した。暴れられてイラつかされても「育児ってそういうもの」、僕は在宅就労なので、保育園からの「38度の熱が!」にも対応し、すぐ病院に連れて行かなきゃならない。いくら締め切りが迫っていても「そういうもの」なのだ。

ある土曜の午後、「今週も乗り切った」と疲弊にまみれるりえちゃんは、グラ太はお昼寝をしていた。

先ほどまで横に並んで寝ていたのに、いつの間にかグラ太は、りえちゃんの頭を枕のようにして乗っかって、寝ていた。夢の中ですら、ママの愛情を浴びたいのだろう。いくら男親が頑張っても限界がある。それを思い知らされた。

それは虚しさというより、「敵わねえな」と半笑いで脱力してしまう、母親と子どもの結びつきだ。一心同体といってもいい。それを見て、本心で思えた。「俺がグラ太のために、好きでやってることじゃねえか」と。「それだけでいいじゃねえか」と。

親として、もうひとつ上のステージに行く特効薬や裏技はない。日々の子育てを通じ、心身ともに筋肉と持続力を、序々に身につけていくしかないのだ。

そのためグラ太は泣いて叫んで、日々、無理難題を突き付けてくる。

「パパ、もうひとつ上の親になれるかい?」と。

負けるもんかいっ!!

(村橋ゴロー)

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