多くの中国人に衝撃を与えた?安倍首相G20での心憎い対応 (2/2ページ)
■対比的に批判される中共体制
多くの中国人が安倍首相を賞賛した理由は、自国の政治に対する反動もあるようです。上述のような言葉以外に「安倍さんは達筆だ!X大々(習主席の隠喩)の字とは桁違いだ!」、「民主vs独裁」と安倍首相と比較して習近平国家主席(63)を批判したり、「安倍首相は善人だが、中国のメディアは彼を悪人と報道している」、「かつて共産党政府は蒋介石を悪人と吹聴した。結局中共は自分たちの都合で対抗勢力を故意に貶めるのだ」と、国内の報道の偏向性を訴え、「日本の首相はこんなに教養があるのに、日中が仲良くできないのは誰のせい?(中共政府のせい)」と自国の体制を皮肉る返信もありました。
一方、反日的な愛国層は「ただ礼儀正しいだけの悪人だ」、「(安倍首相の行為に肯定的な発言を受け)売国奴どもめ、興奮するな!」と否定的な声を投稿しましたが、肯定的な意見が圧倒的多数だったのです。普段、安倍首相を批判し中国を擁護する日本の左派層の人々には、このような事実を知ってもらいたいと思います。
中国の国家主席は、かつての皇帝たちと同じく民衆の上に君臨する絶対的権力者です。そのため習主席が清掃員に感謝の手紙を送るという事態は絶対にありえません。それに対し日本の安倍首相は対等の目線で清掃員に接しました。この話は日本社会の教養の高さ、差別心の低さ、そして「良いことをしてもらったら必ずお礼をする」という誠実さを表していると思います。
「日本人は教養が高い」、「書道と漢字はもともと中国のもの、それを吸収しさらに洗練させている」、「礼儀正しさは日本人の特性だ」と日本の社会や文化を賞賛する声も多く寄せられていました。「安倍首相と仲良くしたら漢奸(裏切り者)扱いされて逮捕される」という意味の「この掃除のおばさんは大変だ!」という皮肉じみた意見が、今回の件を明確に象徴していると思います。
僕は自著『中国が絶対に本に勝てない理由』(扶桑社)の中で、さまざまな視点から日中両国を比較しているのですが、今回の件も「中国が絶対に日本に勝てない理由」の一つだと思います。首脳の教養の高さは、世界中から尊敬される国家を形成するための重要な要素だと思います。
著者プロフィール

漫画家
孫向文
中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)など。
(構成/亀谷哲弘)