殺されても「金正恩ジョーク」を止めない北朝鮮の人々 (2/2ページ)
例えば、昨年、北朝鮮の若者たちの間では「4丁高射銃で撃たれてみるか?」というジョークが流行った。
「4丁高射機関銃」とは、玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)前人民武力部長の公開処刑で使われた銃火器で、人間を文字通り「ミンチ」にする恐ろしいものだ。せい惨な処刑をジョークにするとは、いささか悪趣味だが、公開処刑が珍しくない北朝鮮の現実を反映していると言えるだろう。
間接的な表現で取り締まりから逃れようとする北朝鮮の庶民たちだが、運悪く拘束される場合もある。北韓人権情報センターに記録された人権侵害事例6万5282件のうち、816件が「マルパンドン」(言葉の反動)と言われる体制批判によるもの。つまり、たった一つの「失言」で「この世の地獄」と称される拘禁施設に送られ、無慈悲に処刑されることすらあるのだ。
北朝鮮からは、目に見える抗議行動の情報が伝わってこないことから「人々は洗脳されている」、もしくは「国民全員が金正恩体制を支持している」と誤解されることがある。しかし、それは事実ではない。「北朝鮮の人々は不満を抱かない」という主張は、拷問や処刑でもって民心を踏みにじる金正恩体制にとって都合のいい理屈に過ぎない。
デイリーNKジャパンが最近発表したムック『脱北者が明かす北朝鮮』でも詳細をレポートしているが、非民主的な金正恩体制に抗う北朝鮮庶民たちの声は、より広く伝えられるべきだ。