雇う側も雇われる側も圧迫 アルバイト時給平均1000円超の地獄 (2/2ページ)

週刊実話

物価上昇2%を目指してきた日銀も、バイト・パートの時給高騰は万々歳だ。
 「というのも、日銀はパート比率が高いサービス業の時給上昇が、物価上昇につながるとまで分析している。黒田東彦総裁も8月の講演で、『バイトの時給アップが続いていて雇用者所得は改善、消費の下支えに働いている』と指摘していたほどです」(金融アナリスト)

 しかし実際には、雇用する側もされる側も、官邸の鼻息ほど荒くはない。
 雇用する側について、経営アナリストがこう言う。
 「牛丼最大手、吉野家ホールディングスが10月に発表した今年の3〜8月期の連結決算は、4期連続で増収を確保したものの、営業利益は9億4500万円と増益から一転、前年同期比2割の減益となった。これは、人手不足で人材確保のため、時給アップや新規採用にコストがかかりすぎたため。人件費は1年前より5%もアップしているのです。1人当たりの時給が20円上がれば、バイトなど1万5000人のスタッフコストは年間9億円増加する。上場企業でもこのボディーブローですから、中小企業の時給アップは経営に大変な痛手です」

 しかし、この時給アップに雇用される側も浮かぬ顔だ。ある居酒屋系企業の正社員従業員はこう嘆く。
 「時給1000円超といっても、時給がアップすれば経営者側は人員削減などで乗り切ろうとする。すると個々のサービス残業も増え、フロアも厨房も仕事が倍化する。結局、時給に見合わない仕事のきつさに辞めてしまい、慢性的な人手不足が続くのです。100円、200円上がってもどうにもならない。そのうち仕事も回らなくなって、バイトだけではなく正社員も辞めるケースが多いのです」

 確かにラーメン店や牛丼系などでは、ワンオペが長時間続き、従業員が「ぶっ倒れる」話は恒常的だ。
 「結局、飲食業ほか運送業などに従事する人たちの残業は増え、正社員も2、3時間の睡眠で過酷労働が増加する。そんなことなら、何のための時給アップかという話です。労使双方が苦しむならまったく意味がない」(金融系シンクタンク関係者)

 安倍政権は2017年の法案成立を目途に「長時間労働の是正」「同一賃金同一労働の実現」「非正規雇用の待遇改善」などを柱とした「働き方改革」の議論を本格化させる。これが働く現場環境の改善を無視した、数字ばかりものにならないことを祈るばかりだ。

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