ガの幼虫からも作れる!インフルエンザワクチンの製造方法と副作用について
毎年猛威を奮うインフルエンザ。感染に備えてこの時期に、予防接種を受ける方は多いと思います。
今回はこの「インフルエンザワクチン」について、安心して予防接種が受けられるように、製造法や副作用など詳しく医師に解説して頂きました。インフルエンザワクチンの製造法
従来、インフルエンザのワクチンは、鶏の有精卵にウイルスを接種後、培養しウイルスを増やして製造します。卵を孵化して、雛から、卵を産む鶏まで育てるのに約6カ月かかり、大量のワクチンを作るためには広い鶏舎を必要とします。
つまり、莫大な時間と場所が必要といえます。そのため、ワクチンの製造量を急に増やすことは難しい製法と言えます。
ガの幼虫を用いたワクチン製造法
細胞培養法の一つ。昆虫などに感染する「バキュロウイルス」にインフルエンザウイルスHAタンパクの遺伝子情報を遺伝子組換え技術により挿入し、それを昆虫の細胞に感染させて増やすことでワクチンを作る製法です。
技術としては以前からあったのですが、インフルエンザワクチンの製造に研究されるようになったのが比較的最近です。この製法は、製造期間を鳥の有精卵を用いた製法の1/3に短縮できる上、コストも安価となります。
タバコの葉を用いたワクチン製造法
遺伝子組み換え技術を使用した製法です。栽培中のタバコを特殊な遺伝子を組み込んだ細菌に感染させると葉の部分でワクチンのもととなる成分を生み出すことができます。
この成分は人の体内に入っても毒性がなく、収穫した葉から精製して取り出せます。タバコは成長が早く、収穫される葉の量も多く、また、不活化処理も不要なため、1カ月強でワクチンを大量生産できるという製法です。 インフルエンザワクチンの働き

「免疫ができる」という言葉を聞いたことがあると思いますが、ワクチンを接種することで免疫ができインフルエンザに感染しにくく、または、感染しても重症化を防ぐことがでるます。では、「免疫ができる」とはどういったことでしょうか?
人の身体はウイルスや病原菌など症状を発現する原因となる「抗原」に一度感染すると、体内に「抗体」が作られます。この「抗体」出来た状態が「免疫ができた」ということです。
「抗体」は「抗原」と戦いやっつけてくれるのですが、一度ワクチンで「抗体」が出来ていれば、次にインフルエンザワクチンが体の中に入ってきたときに素早く「抗体」を増やし戦うことができるため感染予防または、症状の重症化を防ぐことが出来るわけです。 インフルエンザワクチンの副作用

■ 注射部位の赤み、腫れ、硬化、痛み
■ 発熱、頭痛
■ 関節痛
■ 下痢
■ 倦怠感
■ アナフィラキシーショック
アナフィラキーショック以外の副作用は、通常2~3日で自然と症状は消失します。特別に対症療法などをする必要はありませんが、心配な時は医師・薬剤師に相談してください。
もしも、アナフィラキーショックが疑われる場合は、すぐに受診して下さい。アナフィラキシーショックの症状の特徴は、蕁麻疹、呼吸困難、血管浮腫等などの症状でそのほとんどは接種30分以内に現れますので、予防接種後30分は医療機関で様子を見ることをお勧めします。 こんな場合はインフルエンザ予防接種受けても大丈夫?

ステロイド剤を服用している場合
低用量で短期間のステロイド薬の服用であればインフルエンザワクチンの接種には問題ありません。
また、長期間、大量に服用している場合では、抗体が期待通りに作られない可能性があります。大量の副腎皮質ステロイド薬を長期投与されている場合は、インフルエンザワクチン接種については医師に相談してください。
他の予防接種を受けている場合
1カ月以内に他のワクチンの接種を受けている場合は、インフルエンザワクチンを接種するまでに間隔をあける必要があります。直近のワクチン接種を医師に伝えてください。
1)生ワクチンを接種した場合
接種した日の翌日から27日以上の間隔をあけます。
2)不活化ワクチンを接種した場合
接種した日の翌日から6日以上の間隔をあけます。 インフルエンザ予防接種受ける際に注意すべき人

■ 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害などの基礎疾患がある人
■前にインフルエンザワクチン接種後2日以内に発熱、全身性発疹などのアレルギーを疑う症状を起こしたことがある人
■過去にけいれんを起こしたことがある人
■過去に免疫不全と診断された、または近親者に先天性免疫不全症の方がいる人
■ 間質性肺炎、気管支喘息などの呼吸器系疾患がある人
■接種するインフルエンザワクチンの成分または鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対してアレルギーを起こす可能性がある人インフルエンザ予防接種後に注意すべきことは?

運動
予防接種を受けた後、アナフィラキシーショック症状が出る可能性は30分以内の早期のため通常は、接種後30分は、医療機関での経過観察を行います。
その他の副作用の多くは24時間以内に出現します。激しい運動をしてしまうと副作用が強く出てしまう可能性もありますので予防接種当日の激しい運動は避けてください。
飲酒
飲酒もインフルエンザワクチンの接種を受けた当日は、大量の飲酒は好ましくありません。
やはり、副作用が出る可能性のある24時間以内に大量の飲酒をしてしまうと副作用発現の際、症状が強く出る可能性がありますのでワクチン接種当日の大量の飲酒は避けてください。 インフルエンザ予防接種後の入浴

軽めの入浴であれば問題ありません。ただし、入浴時に予防接種部位を擦らないようにしてください。また、熱や発疹など身体に異常があれば、入浴を控えるようにしましょう。 吉澤先生より一言従来の製造法では、インフルエンザがパンデミックに広がる兆候が見えた際に供給が間に合わない可能性が否定できません。新たなインフルエンザの製法の承認、実用化が1日も早く実現されることを望みます。
(監修:薬剤師 吉澤 恵理)