「どんでん返しの帝王」が報道のタブーに切り込む 怒涛のノンストップ・ミステリー (2/2ページ)
「岩礁の上から美しい歌声で船員たちを惑わし、遭難や難破に誘う。俺に言わせれば君たちマスコミはまるでそのセイレーンだよ。視聴者を耳触りのいい言葉で誘い、不信と嘲笑の渦に引き摺り込もうとしている」(P186より引用)
「君たちがいつも声高に叫ぶ報道の自由・国民の知る権利とかいうのはセイレーンの歌声そのものだ。君たちにとって錦の御旗なんだろうが、その旗の翻る下でやっているのは真実の追求でも被害者の救済でもない。当事者たちの哀しみを娯楽にして届けているだけだ」(P187より引用)
この『セイレーンの懺悔』には、多香美の記者としての成長を描いた物語の側面がある。事件の真相を追う中で、記者としての使命や報道との向き合い方に葛藤を抱きながら前に進んでいくのだ。
最後の最後まで、事件の真相は二転三転する。少女を本当に殺したのは誰なのか。「どんでん返しの帝王」中山七里氏のスリリングなストーリーは夜の長さを感じさせない魅力がある。
(新刊JP編集部)