世界の恋愛不思議ばなし「妖精との約束」 (2/2ページ)

恋学

すると妖精の言ったように、徐々に彼の人生は好転していきます。最初はろくな食事もできないほどでしたが、徐々に仕事も上手く行くようになり、気が付くとそこそこの生活を楽しめるようになりました。もちろん、生活が様変わりするなかでも、彼は決して驕ることなく、毎日何かを手に入れるたびに、妖精への貢物とすることを忘れませんでした。

あっという間に、この青年は大金持ちになっていました。そんなあるとき、青年は美しい女性と知り合い、短い交際期間を経て、結婚することを決めたのです。ところが妖精は、無茶な要求をしてきます。美しい女性の、顔の部分を貰いたいといってきたのでした。

そう、青年が知り合った女性もまた、妖精が引き寄せた幸運の一種。つまり青年の運によって出会った存在でもないため、相変わらず得た物として、一番良い部分を捧げろと要求してきたわけです。青年は拒んだのですが、妖精は受け入れませんでした。事情を知った婚約者は、ショックで泣き崩れてしまいました。

妖精が婚約者のもとを訪れたのは、その晩でした。ところが妖精は、婚約者を見るや絶叫を上げて「こんな醜い顔はいらない」と逃げ出しそのままいつも潜んでいた門を越え、家を逃げ出していったのです。

婚約者の女性は美しい容貌をしていたのですが、実はこのとき、散々に泣きはらした彼女の顔は、醜い老婆顔で妖精が驚くほど酷い形相になっていたのでした。妖精はその顔に衝撃を受けて、勘違いしていたというわけですね。

以来、青年の家に妖精が戻ることはなく、彼はそのまま最愛の彼女と結婚。妖精がもたらしていたようなあり得ないような幸運はもう訪れることはなくなりましたが、つつましやかで幸せな人生を歩んだと言い伝えられています。

おわりに

現地では割とメジャーな言い伝えとして語り継がれているお話のようです。何かを得たら独占することなく、周囲の人々と共有するという意識も大事という、教訓めいた話になっているのかもしれません。

日本には妖精の話なんてのはそう多くありませんが、似たような逸話もないわけでもありません。機会があれば、そちらもご紹介してみたいと思います。

Written by 松本ミゾレ
photo by StephaniePetraPhoto

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