金正恩氏が韓国軍より「自国民」を恐れる理由 (2/2ページ)
南北軍事境界線に近接する北朝鮮軍の防御隊を視察した際は、意気揚々とゴムボートに乗り込むアクティブな一面も見せた。
正恩氏は、単に目立ちたがってわけではないだろう。正恩氏がゴムボートで渡った島は韓国軍の射程内だ。また、面積も小さく身を隠すの難しい。仮に韓国軍が正恩氏の行動を捕捉していれば格好のターゲットとなり、決して安全とはいえない。
あえて危険な行動を取った背景には、崔順実ゲートで朴槿恵(パク・クネ)大統領の求心力が弱まる中、韓国側の軍事行動は不可能だという判断に基づくものではないか。また、こうした行動によって、今後何年にもわたり「正恩は怖くて最前線に近づけない」と言われないようになる。
では、それなりに大胆な行動を取った金正恩氏が被災地に出向かない理由はなんだろうか。やはり被災民が自分と体制についてどう思っているか、不安だからだろう。また、こうした国民の不満に乗じ、韓国や米国がテロ工作をしかけるかもしれないと疑心暗鬼に陥っているのではないか。
北朝鮮国営メディアは、住宅建設も含めて被災民に対して配慮を見せている。その一方で、大々的に入舎式が行われた復旧住宅は、いつもながらの「速度戦」という突貫工事で建てられたため、トイレなどで様々な問題が起こる事が予想されている。現地でも決して大歓迎というわけではないのだ。
金正恩氏は米韓の圧力よりも、国民の見えない反発を敏感に感じ取り、そして恐れているのかもしれない。