いよいよ「主婦たち」からも恐喝を始めた金正恩氏 (2/2ページ)
妻が夫に死の復讐
その一方で、やはりと言うべきか北朝鮮当局は、大会を利用して恐喝まがいの行為で女性の家計を狙い撃ちにしていた。
デイリーNKの両江道(リャンガンド)の情報筋によると、「大会前、参加する各地方の女性同盟員委員長に『旅費を用意しなさい』という指示が下った。さらに、末端団体や個人には5000ウォンから1万ウォンの上納金を出せと強要した」
北朝鮮で、大会や行事がある際、庶民がその費用を負担させられることは日常茶飯事だ。当局が行事の運営費を準備できず、庶民から収奪することによって工面する。通常の上納金集めも半ば強制的だが、特に今回は恐喝のような圧力があったという。たとえば「家計が苦しいから出せない」と言う女性たちに対して、次のように言う。
「市場で商売できなくなるよ。そうなれば不利益があるだろうね」
北朝鮮の市場では、基本的に女性しか商売できない。薄給しかもらえない企業所(会社)に務める男性より女性の方が圧倒的に経済力も生活力もある。彼女たちは市場の原動力であり、かつ家庭の大黒柱だ。市場で商売できないことは生命線が絶たれることに等しく、当局の圧力は脅迫といっても過言ではない。さらに、大会に参加するとなればその間の商売はできず大打撃となる。
旅費や滞在費を工面して大会に参加したとしても、もらえるのは金正恩氏との記念写真。男性と違い、社会的名誉よりも現実生活を優先する女性たちにとっては、飯の種にもならない。金正恩氏からすれば「一緒に写真を撮ってやるから、大会の参加費ぐらいは出しなさい」ぐらいの軽い気持ちかもしれないが、糊口を凌ぐ女性たちからすれば「バカにするな!」といったところだろう。
現地の情報筋も「市場生活を通じて家計の大黒柱である女性たちの忠誠心を育むことは無理だ」と述べる。
北朝鮮の女性たちは、もはや家族単位を超越して国家経済の大黒柱となりつつある。その彼女たちをないがしろにしていると、いつか思わぬ形で復讐されるかもしれないことを正恩氏は肝に銘じた方がいい。