イギリスで14歳の少女が人体冷凍保存。未成年としては初めてのケース

カラパイア

イギリスで14歳の少女が人体冷凍保存。未成年としては初めてのケース
イギリスで14歳の少女が人体冷凍保存。未成年としては初めてのケース

[画像を見る]

 名前は明かされていないが、あるイギリス人の14歳の女の子が先月がんで亡くなり、現在アメリカ、ミシガン州にあるクライオニクス・インスティテュートが管理する-196度の低温保持装置の中で眠っている。

 彼女の人体冷凍保存については、離婚した両親の間で激しい法廷闘争が繰り広げられていた。母親側は冷凍保存に同意していたが、父親側はその高額な費用と人体冷凍保存に対する抵抗感から反対していた。

 父親は「治療法が確立されて、例えば200年後に蘇ったとしても、家族はいないし、記憶だって失われているかもしれない」と、保存された少女を待ち受ける運命を懸念していた。しかし判事によると、最終的には本人の意思を尊重し、冷凍保存に同意したという。

もっと生きたい、チャンスに賭けたい。少女の手紙

 裁判の間、死の床にあった少女は手紙を書いた。

 そこにはこう書かれている。
この普通ではないことを希望する理由を説明するように言われました。私はまだ14歳で死にたくはありませんが、もうすぐ死ぬことは分かっています。人体冷凍保存は私にとっては病気を治して、目を覚ますチャンスだと思います。それは数百年後のことかもしれないけれど。私は土に埋められたくありません。もっともっと生きたい。

未来なら私のがんを治して、目覚めさせてくれるかもしれない。私はそのチャンスに賭けたいのです。それが私の願いです。
 最終的に2016年10月6日、ピーター・ジャクソン高等法院判事によって、冷凍保存の実施が認められた。判事は死に直面した少女の勇気を讃え、この判決に少女は大喜びしたと伝えられている。

 少女は10月17日に亡くなり、保存処理後アメリカに運ばれ、そこで液体窒素で3週間かけてゆっくりと冷凍された後に他の150の遺体とともに保管された。

[画像を見る]

 初めて人体冷凍保存が実施されたのは1967年のことで、最初の人物はジェームズ・ベッドフォード博士であった。これは映画においても人気のテーマとなった。以降、大勢の人々が自らの遺体を冷凍保存するために大金を支払っている。

 人体冷凍保存は少女の死後速やかに行われたという。施術を担当したフリートウッド氏は非常に難しい処理であったと話す。

 中には母親の意識が子供の死を悲しむことよりも、施術に向いていたと指摘する向きもあるが、彼女自身は子供を亡くした母親の気持ちなど誰にも分からないとコメントする。

[画像を見る]

少女の希望が尊重され即決裁判、死後すぐに冷凍保存

 少女の人体冷凍保存に関する初めての裁判が始まったのは9月26日のことだ。それから1週間かそこらというごく短期間で判決が下された。

 しかし、この判決が将来的な蘇生を望み冷凍される権利についての判例を作り出すことはない。裁判は子供の意思を実施するかどうかについてのもので、人体冷凍保存の権利とその是非を問うものではなかったからだ。

 少女のがんは珍しい進行性のがんであった。母親は冷凍保存の費用としておよそ500万円の募金を募った。しかし少女は未成年であったため、施術を受けるために母親と、8年間会ったことのない父親の同意を得る必要があった。

 死後、どのような措置が行われたのかは不明だ。一般には脳を冷やすために頭部を氷枕で覆い、血液と体液を抜き、不凍液のような溶液を注入すると言われている。不凍液は氷の形成や細胞の損傷を防ぐためのものだ。それから3週間かけて、遺体を1時間に0.5度ずつゆっくりと冷却し、最終的には-196度まで冷やされた後に保管される。

[画像を見る]

一般的になってきた冷凍保存

 遺体の運搬を担ったクライオニクスUKによると、処置は病院の許可を得たうえで適切に遂行されたという。しかし病院職員の中には尻込みしているかに見えた人もいたそうだ。

 クライオニクスUKの代表ティム・ギブソン氏の話では、数年前までは変人扱いされた彼らであるが、現在では驚く人も少なくなってきたという。

 クライオニクスUKの待機サービスを受けるには最大約380万円を支払いメンバーとなったうえで、事前に連絡をする。すると法的に死亡診断が下される12~24時間前にスタッフが病院に到着し、待機してくれる。

 ギブソン氏自身はアメリカのアリゾナ州のアルコー延命財団で冷凍保存保存の訓練を受け、あとは現場の経験から学んでいったそうだ。また他のスタッフは医療的な訓練までは受けてはいないが、専門知識を有している。

[画像を見る]

だがいまだ蘇生の成功なし

 こうした措置については賛否両論である。血液細胞、精子、胚などには有用かもしれないが、これまでのところ人間はおろか哺乳類であっても冷凍後の蘇生には成功していない。

 このため特に科学者や医師からの反対意見が根強い。例えば、スウェーデン、カロリンスカ研究所のある認知神経学者は、失敗は目に見えており、いかさまのようなものだとコメントする。

 「脳には1兆個もの細胞があり、互いに1万ものつながりを持っています……それを再び機能させる方法などありません」

[画像を見る]

 これまで冷凍保存された人で最も若いのはタイの患者であると言われている。この幼子は昨年4月、脳の左側に11センチの腫瘍が見つかっていた。

 なお、人体冷凍保存の費用は全身ならおよそ2,000万円の費用がかかる。そこで脳だけの保存を選択する人もいる。これなら800万円ほどで済む。

 2013年にはセントルイス在住の23歳の女性が進行性の膠芽種を発症し、インターネットで頭部の冷凍保存を受けるための募金を募ったところ、およそ700万円を集めることに成功した。
人体冷凍保存とは何か? その費用と方法について

1. 法的に死亡が確認された後、心停止が確認されてから2分以内に施術を開始する。15分以上が経過すれば施術はできない。体を氷で覆い、血栓を防ぐ薬品を注射する。

2. 遺体を施設に運搬し、0度まで冷やす。血液を抜き、内臓を保存する溶液を注入する。

3. さらに内臓や組織内での氷の形成を防ぐ溶液を注入。その後遺体を-130度まで冷やす。

4. 遺体を容器に収め、それごと-196度の液体窒素が満たされたタンクに入れる。

5. タンク内で超低温に保たれ、医療技保存の進歩を待つ。

via:'If she's brought back to life in 200 years she may not remember who she is': Father of cancer girl, 14, who is first British child to be cryogenically FROZEN fears his dead daughter will be alone in America/ translated hiroching / edited by parumo



画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。
「イギリスで14歳の少女が人体冷凍保存。未成年としては初めてのケース」のページです。デイリーニュースオンラインは、海外などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る