秋津壽男“どっち?”の健康学「注目されるロコモシンドロームって何だ?高齢者の転倒は寝たきりや要介護を招く」 (1/2ページ)

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秋津壽男“どっち?”の健康学「注目されるロコモシンドロームって何だ?高齢者の転倒は寝たきりや要介護を招く」

「ロコモティブシンドローム」(通称ロコモ=運動器症候群)という言葉をご存じでしょうか。

 これは2007年に日本整形外科学会が、やがて来る超高齢化社会を見据えて提唱した概念で、筋肉や肩、関節、椎間板などの運動器の衰えが原因で、立ったり歩いたりという機能が低下する状態を言います。

 高齢になると転倒しやすく、転倒による骨折で動けない間、筋力の低下により体力が落ち込むことがあります。すると、歩行などの日常生活に障害を来し、ロコモとなります。進行すると要介護や寝たきりになるリスクが高まるわけです。

 このロコモを予防するために、中高年がやっていいトレーニングとは「腹筋運動」と「スクワット」のどちらでしょうか。

 あおむけの状態から上体を起こす腹筋運動は、実は危険です。その昔、運動部ではうさぎ跳びと腹筋がワンセットになっており、ある程度の年齢でもやろうと思えばできてしまいます。

 しかし、腹筋運動は腰を痛めてしまうので、ロコモ予防には適していません。昔の感覚で腹筋をやろうとすると、よけいに体を痛めるリスクがあります。それでも腹筋をやりたい場合、まずはプロのトレーナーに教わるか、市販の腹筋マシンを使うことです。

 一方、足腰を鍛えるスクワットは脚から臀部、背中まで幅広い筋肉を鍛えられる運動で、ロコモ予防には効果的です。国民栄誉賞女優の故・森光子さんが晩年まで朝晩150回も行っており、黒柳徹子さんも、ジャイアント馬場さんの教えを受け、日課として毎晩寝る前に10年以上も続けていたそうです。80歳を超えてもお元気なのは、スクワット効果かもしれません。

 スクワットで使う筋肉は、大腿四頭筋、大臀筋、背筋、腹筋であり、下半身強化やヒップアップ、生活習慣病予防など幅広い効果があります。

 ただし、やり方を間違えると効果は半減します。プロレスラーのように、最初から深く腰を落とすのは難しいので、まずは「膝がつま先より前に出ない」「背中を丸めない」、この2点に注意しながら、できる範囲で始めてください。

「秋津壽男“どっち?”の健康学「注目されるロコモシンドロームって何だ?高齢者の転倒は寝たきりや要介護を招く」」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2016年 12/8号“どっち?”の健康学スクワット秋津壽男ロコモティブシンドローム社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
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