金正恩氏を悩ます「大阪の血脈」と「最愛の妹」の危機 (2/2ページ)

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そして今、正恩氏に対してそれを出来るのは、おそらく与正氏しかいない。

労働新聞の写真などを見ると、与正氏はいつも明るい笑顔を浮かべており、いかにも仲の良さそうな兄妹だ。また、その自然体の表情は、「話の通じる人物なのではないか」との期待を、一部の北朝鮮ウォッチャーに抱かせていたりもする。

とはいえ彼女が、北朝鮮において「普通の人」でないのは確かだ。昨年5月には、彼女の学生時代の友人らが、些細な言動のために「大量失踪」した事件もあった。

そして今年、遂にというべきか、与正氏も制裁指定の対象とすべきとの声が、韓国や米国から出てくるようになった。彼女は、朝鮮労働党中央委員会・宣伝扇動部の副部長の要職にある。宣伝扇動部は、国民の思想や情報の統制を司る部署だ。北朝鮮で外部の情報に触れた人々が、拷問や銃殺を含む厳しい処罰を受けているのは、周知のとおりである。

与正氏はおそらく、今後も兄の側近として存在感を強めていくものと思われる。そうなるほどに、彼女に対し「人権侵害の責任を問うべき」とする声は強まらざるを得ないだろう。30代と20代の若さで独裁体制に君臨する兄妹は、国の内と外に、容易には逃れられない難問を抱えていると言える。

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