後世に伝えたい「ニッポンの大ヒット映画」女優!(3)<壮絶エピソード編>「蛇にピアス」決定翌日に顔の皮が剥がれた吉高由里子 (2/2ページ)
どうやら我慢を重ねているうちに失神しちゃったんだ」
その精神力こそ、今なお主演女優でいられる要因であろう。そして新しいところで、二階堂ふみ(22)の「脳男」(13年、東宝)も強烈。二階堂は連続爆破犯に扮し、共演の謎の男役・生田斗真に首を絞められるシーンがある。
「もっと力を入れてやってくれ!」
瀧本智行監督の怒号が飛ぶ。生田は手に力を入れると、二階堂が失神。
「フワーッていきました。未知なる体験」
二階堂は撮影での失神を、皮肉を込めてそう語っている。実は撮影中の食事制限も長く、それに加えて失神事件があったことで「早く終われ、この現場」とつぶやいていたようだ。
逆に、共演者を失神寸前に追い込む女優魂を見せたのが小川眞由美(76)である。85年公開の「食卓のない家」(松竹富士)で、岩下志麻の目の前で金魚をかみ砕くという演技を見せた。
「卒倒しそうになりました」
そんな感想を漏らす岩下に対し、小川は何食わぬ顔で答える。
「あまりにも生臭かったからレモン水を飲んだら、小骨が刺さりまくって大変だったわ」
かつて「悪女」の代表であっただけに、堂々たる後日談である。最後に、変わったケースを経験したのは江波杏子(74)だ。主演の「女賭博師」(66~71年、大映)は、全17作のヒットシリーズとなった。
そしてある日、新幹線でヤクザに声をかけられる。
「姐さん、今日は釜ヶ崎のほうで賭場を開いています」
男の俳優でも、ここまで役柄と混同されるケースは珍しいだろう。江波はこうした声にも、姐さんらしい貫禄で悠然と聞き流していたようだ。